2017年9月17日 (日)

新TS-Eレンズ パンフォーカスを得るティルト角

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TS-Eレンズは、ティルトによるピント面の調整で、撮像面と平行ではない面をパンフォーカスにすることができますが、角度の設定は計算式で求められ、過去に「パンフォーカスを得るティルト角の計算」の回にまとめました。今回のリニューアルで、同焦点距離でも最短撮影距離や最大ティルト角が変わったので新レンズ分を追加で作ってみました。

まずは、その計算式の説明図をもう一度ご覧ください。

20170917b

この計算式に基づいた一覧表が以下のものです。撮影角度は前回と同じく見下げ角が30°、45°、60°の3パターンです。表の赤バックの部分はTS-Eレンズでは追い切れない角度です。 

<注意事項>
レンズ主面と撮像面の距離は撮影距離が無限大のときレンズの焦点距離と同じですが、被写体が近いほどピントを合わせるためにレンズが繰り出されます。計算しやすいように繰り出し量を一様にしているため、実際は近距離では角度が大きく、遠距離では小さくなります。また、ティルト回転が主点で行われるという前提に立ったものですので、そもそも主点がティルト回転の中心にはない当レンズでは厳密な計算はできません。あくまで目安とお考えください。

 

135mm ティルト角±10° 繰り出し量を15mmとしてAを150で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.50 9.8
0.60 8.2
0.70 7.1
0.80 6.2
0.90 5.5
1.00 4.9
1.20 4.1
1.50 3.3
2.00 2.5
3.00 1.7
4.00 1.2
5.00 1.0
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.50 16.7
0.60 14.0
0.70 12.1
0.80 10.6
0.90 9.5
1.00 8.5
1.20 7.1
1.50 5.7
2.00 4.3
3.00 2.9
4.00 2.1
5.00 1.7
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.50 27.5
0.60 23.4
0.70 20.4
0.80 18.0
0.90 16.1
1.00 14.6
1.20 12.2
1.50 9.8
2.00 7.4
3.00 4.9
4.00 3.7
5.00 3.0

90mm ティルト角±10° 繰り出し量を10mmとしてAを100で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.40 8.2
0.50 6.6
0.60 5.5
0.70 4.7
0.80 4.1
0.90 3.7
1.00 3.3
1.20 2.8
1.50 2.2
2.00 1.7
3.00 1.1
4.00 0.8
5.00 0.7
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.40 14.0
0.50 11.3
0.60 9.5
0.70 8.1
0.80 7.1
0.90 6.3
1.00 5.7
1.20 4.8
1.50 3.8
2.00 2.9
3.00 1.9
4.00 1.4
5.00 1.1
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.40 23.4
0.50 19.1
0.60 16.1
0.70 13.9
0.80 12.2
0.90 10.9
1.00 9.8
1.20 8.2
1.50 6.6
2.00 4.9
3.00 3.3
4.00 2.5
5.00 2.0

50mm ティルト角±8.5° 繰り出し量を5mmとしてAを55で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.30 6.0
0.40 4.5
0.50 3.6
0.60 3.0
0.70 2.6
0.80 2.3
0.90 2.0
1.00 1.8
1.20 1.5
1.50 1.2
2.00 0.9
3.00 0.6
4.00 0.5
5.00 0.4
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.30 10.4
0.40 7.8
0.50 6.3
0.60 5.2
0.70 4.5
0.80 3.9
0.90 3.5
1.00 3.1
1.20 2.6
1.50 2.1
2.00 1.6
3.00 1.1
4.00 0.8
5.00 0.6
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.30 17.6
0.40 13.4
0.50 10.8
0.60 9.0
0.70 7.7
0.80 6.8
0.90 6.0
1.00 5.4
1.20 4.5
1.50 3.6
2.00 2.7
3.00 1.8
4.00 1.4
5.00 1.1

 


今回の追加およびリニューアルに際し、キヤノンはTS-Eレンズにかなりの力を入れています。今まではサイトでの紹介はそれほど丁寧ではありませんでしたが、今回はスペシャルサイトもオープンしました。 ⇒ TS-Eレンズスペシャルサイト

そこにも埋め込まれていますが、TS機能をふんだんに使ったイメージ動画が気に入ったのでご紹介しておきます。

動画「TS-E×SUSHI」
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このムービーで特に気に入っているのが、40秒あたりの手前と奥にふたりずつ座った登場人物にそれぞれ対角にピントを合わせる演出。ムービーだと遷移も演出になるので面白いですね。

20170917f

その他にも参考になる演出が豊富です。一度はご覧ください。

またこのムービーのメイキングムービーもあります。これらの演出はレンズをどう使っているのかの理解に便利です。⇒「TS-Eレンズ×SUSHI メイキング動画」

(まだそれほど再生数が行っていない。 特殊なTS-Eレンズへの世間の興味はそんなものか…)


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2017年8月29日 (火)

TS-Eレンズ 新製品発表

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写真はTS-E90mmですが、TS-E45mmとともにキャノンの現行レンズでもっとも古いもののひとつになってしまっていました(1991年4月発売)。TS-E24mmは8年前に新焦点距離のTS-E17mmの発売とともにリニューアルされていますが、45mm、90mmは「非常に古い」設計のままほったらかしにされていた感があります。

ここ何年か「いよいよ出る」という噂が何度も浮上しましたが、やっと本日発表されました

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デザインがすべて24mm、17mmで採用されたスタイルに統一され、新たに、より長焦点の135mmが加わり、17mmの超広角から135mm望遠までの5本体制になります。

同じティルト・シフトレンズ群は、ニコンにおいてはPCニッコールとして4本(19,24,45,85mm)がラインナップされていますが、キヤノンの負けず嫌いで、望遠にもう1本追加したというところでしょう。

45mm、90mmは「非常に古い」設計のため、リニューアルに当たってニコンに劣っている面も当然解決してきています。ニコンに抜かされたマクロ域対応が新規の135mmも含め3本ともに図られました(撮影倍率0.5倍 現行品は90mmが0.29倍、45mmが0.16倍)。PCニッコールではすでに45mm、90mmで0.5倍になっており「PC-E Micro NIKKOR」との名を冠していました。

さすがに等倍マクロまでの対応は難しい(全群を移動することになるこのレンズの仕組みでは鏡筒をとてつもなく伸ばす必要がでてくる)でしょうが、0.5倍まで対応してくれるとブツ撮りでは非常にありがたいです。

ティルトおよびシフトの範囲も拡大されました。最大ティルト角は8°から10°に(50mmは8.5°)、最大シフト量も11mmから12mmに(50mm、90mmともに)。またギンギンのパンフォーカスを得たい場合にありがたい、最大絞りが32から45になりました(もっとも小絞りボケは発生するでしょうが)。

また、当然のことながらレンズの見直し、コーティングの見直しで、デジタルに適切な光学性能に引き上げられたようです。90mmでは現行品の5群6枚から9群11枚(UDレンズ1枚)になり、すべてのラインナップがLレンズとなります。

現行の90mmを使っていて気になるのは、逆光に弱い点です。レンズフレア(ハレーション -この語は本来は誤用)がありますので、ハレ切りが重要なシーンが結構あります。

黒バックでローキーでブツ撮りのとき、画角の外ギリギリに光源がある場合には全体に白っぽくなります。そんな場合にはシビアなハレ切りをすることもありますが、日常の撮影でもフードをつけています。標準のフードでは使い心地が良くないので角型フードを使っていました。

20170829c
フィルター径58mm対応の一般用で、JJC製のLH-DV58Bという製品ですが、既に廃番となっています。

ところが今回のリニューアルで90mmはフィルター径が77mmになります。レンズ径だけでなく、上のラインナップ写真で分かる通り、全体のボリュームはかなり増えます。従って質量も現行の595gから915gと1.5倍強になります。

レンズ枚数が増え、便利なTSレボルビングやティルトロック機構が追加されたので当然なのですが、現行品あたりの重さが使いやすいのですがね。

また価格も非常に高価になりました。希望小売価格が税別で315,000円。値引きがあっても現行品の2倍にはなるようです。

現在使っている現行のTS-E90mmからリプレースするつもりは大いにあるのですが、価格で躊躇してしまいます。ましてや手放した45mm(新製品では50mm)や、魅力のある135mmまで手を出すのはちょっと…。

いずれにせよ12月下旬の発売との発表ですので、まだまだ先の判断となります。

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2017年5月24日 (水)

テグス吊り撮影

20170524a 毎度の超スロー進行です。

 

さて、商品撮影では、ソリッドなもの以外に、様々な「クタッとしたもの」がありますが、そんなものを撮る場合にはテグスで吊ることがよくあります。

右のようなバッグの取手部分をしっかりと立てて撮影するには必須です。

吊りで気をつけなければならないのは、ゆる過ぎず、引き上げ過ぎずのちょうど良い状態に調整できるようにテグスの位置、長さにできるようにサポートを組むことです。

右の例では、「私の撮影ブース(撮影コーナー)」の回でご紹介したブースで上から吊り下げたパイプシステムで位置や向きが調節できるようにしています。

さて、この間、テグス吊りが必要となる大物の撮影が入りました。

20170524b 掃除機なのですが、ご存じのように掃除機の中間部分は自由に変形するホース。右のような全身像を撮るとなると「吊り」が必要となります。

上のバッグのように軽量であれば片持ちの構造でも吊ることができますが、掃除機ホースとなるとかなりの重量です。従ってサポートもそこそこのしっかりしたものが必要となります。

そこそこの高さがある左右に渡ったパイプなどにひっかければ良いように思われますが、テグス吊りでは吊るものの形状によって向きが固定されてしまいます。

下の図のように直交で吊るにせよ平行で吊るにせよ、吊り元の向きに沿った方向が安定するため、テグスを吊るパイプの方向を平面上で回転できるようにしておかないと、商品に最適なアングルになりません(上のバッグの取手では途中で若干のひねりが入ってしまいます)。

20170524c_2

今回の掃除機では向かって左が手前になっている斜めのアングルですので、平行で吊る場合にはホースの真上にホース方向にパイプがないと変な写真になってしまいます。

そこで様々な機材を利用してこのような吊り機構を作ってみました。

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左はスタンドの上に回転するパイプ受け(この回でご紹介) 左はFOBAのスタンド「COMON」ですが、水平面上でクランク移動できるように2段階のアームを設けてパイプを受けています。これで上下の移動に加え、スタンドを動かさずとも下のようにテグスを吊るパイプの向きが調整できます。

20170524d2

20170524e1

実際の写真ではパイプ下からが画角となりますが、ちょっと広角で撮ってこのような見えになります。この大きさではテグスはほぼ気づかないレベル。吊り位置もホースの前後方向に微調整がききます。

20170524e2

トップ画のバッグも含めてテグス部分のアップですが、どちらも修正はほんのちょっとで済みます。

 

この掃除機の写真で使ったスタンド、FOBA の「コンビチューブ」というパイプシステムのもので、「COMON」という型番のセット品です。その昔、都内のカメラ量販店のスタジオ用品売場で展示処分品をかなり安く買ったのですが、以後展示を見かけていません。

下のような25mm径のパイプをベースに乗せ、クランプ式の機材取付具を途中に有した変わったスタンドなのですが、このクランプ、ハンドグリップ状のレバーストッパーで高さをスムーズに変えられます。耐荷重もかなりあり3kg程度のものであれば滑り落ちることなく固定できます。

20170524f

20170524g80cmのパイプが2段組みで、頭頂部のネジが5/8インチですから、そこにも様々な機材が乗せられます。

今回の掃除機の撮影ではトップライトのソフトボックスをブームを介して乗せたのですが、カウンターウエイトがしっかりあれば、この小さなベースプレートでも倒れることはありません(このベースプレートのみで10kgあります)。

今回は場所を撮る撮影で、テグス吊りのためにスタンドを別途置くスペースが確保できなかったので、このような省スペーススタンドで複数の機能を持ったものは便利です。

このスタンド「COMON」上記飛び先KPIの価格表にはズバリの商品がありませんが、定価は78,000もしますので、もう1台欲しいのですが躊躇します(ちなみに保有しているものは展示処分品だったので3万円程度でした)。

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