« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

2010年12月の4件の記事

2010年12月25日 (土)

ティルト・シフトレンズ Canon TS-Eレンズ

【ティルト・シフトレンズとは】

通常のカメラレンズがレンズの中心軸(光軸)が不変なのに対し、レンズの光軸と撮像面を意図的にずらしたり光軸を傾けたりすることによって結像をコントロールすることができるレンズです。

4×5(シノゴ)などの大判カメラでは、基本的にはレンズにはフォーカシング機構がなく、蛇腹を伸縮させてピントを調節する構造のため、そこにこのティルト・シフトの機能を持たせています。大判のカメラでは被写界深度が相対的に浅いためパンフォーカスを実現するには不可欠の仕組みですが、一眼レフ用にもいくつかのレンズがあります。

私は写真システムをキヤノンで揃えていますが、キヤノンからは「TS-Eレンズ」群としてラインナップされています。

101225a◆左より  TS-E24mm F3.5L、TS-E45mm F2.8、TS-E90mm F2.8 <拡大します>

上の3点は旧ラインナップです。現在は24mmが新タイプとなり、より広角の「TS-E17mm F4L」が出ているため4種類になっています。

上の写真を撮ったときは3本持っていましたが、今は24mmを新型に替え、45mmを手放したため、現在私の持っているTS-Eレンズは2本です。

なお、一眼レフ用ティルト・シフトレンズはニコンからは「PC-Eニッコール」シリーズとして 24mm、45mm、85mmがラインナップされています。

また、一眼用とはいえ、オートフォーカスをさせづらい機構・機能(まず、レンズ全群を移動させるためのパワーがモーターに必要にとされることと、ピントを合わせる判断がケースバイケースであるためオートにしづらい)のため、両メーカーともマニュアルフォーカスでしか出していません。 

 

【シフトとは】

カメラを被写体に斜めに向けると遠近法が影響してしまうため、例えば建築物など水平・垂直線でできている被写体を撮ると違和感を覚えます(上向きで撮ると先すぼまりになる)。このとき、レンズの光軸と撮像面を意図的にずらして逆の歪みを発生させ、結果として像の歪みを補正することができます。これがシフトです。

(レンズの説明において「歪み」という言葉は、非常に限定された意味になるのでむやみに使うと誤解をまねくのですが、上で使った「歪み」はパースを指す一般的な用法です)

101225b◆シフト概念図

一番使用される例は建築物の写真でしょう

101225c◆見上げ撮影とシフト(ライズ)撮影の違い <拡大します>

建築物以外にも、物(ブツ)撮りの世界においては使用頻度が高いレンズです。

例えば

  • 縦長のもの(ボトル、箱、缶等)を見下ろす場合通常のレンズでは下がすぼまって写るためそれを防ぐ
  • 鏡などを真正面から撮影する場合にはカメラや撮影者が写るためそれを防ぐ

などあります。

101225d◆鏡を正面から撮る場合の例

また、ポートレイトにおいても、全身撮りで見下ろしの場合には脚が先すぼまりになり短足になってしまいますが、シフトをかけることで脚がスラッとなります。風景写真でも滝など見上げ(見下ろし)で撮ると先すぼまりになる(この場合、そのほうが迫力が出るとも言えますが)のを防ぎ自然な形状に撮ることができます。

なお、このシフト機構は大判カメラが発祥ですので、その構造上 -- レールの上にボディ(後枠とも呼ぶ)とレンズボード(前枠とも呼ぶ)が乗り、両者を蛇腹が繋ぐ -- 、上へのシフトを「ライズ」、下へのシフトを「フォール」、「シフト」は左右の移動のみに使うのが正しい語法なのですが、 一眼レフの世界ではまとめて「シフト」と呼ぶようになってきました。

もっとも私は大判カメラを持っておりません(笑)

 

【ティルトとは】

また、ティルト機構ではレンズを斜めにすることで光軸を傾け、それによって、ピントの合う範囲をコントロールすることが可能になります。これは、「撮像面とレンズの主面とがある1つの直線で交わるとき、ピントがあう物面もまた同じ直線で交わる」という原理によるもので、発見者の名をとって「シャインプルーフの原理」と呼ばれています。

101225e◆ティルト概念図 

図では「1点で交わる」と表記していますが、実際の交わる点はこちらから向こうに向かって直線上になっているため「直線上で交わる」が正しい表現です

通常、面状の被写体に対し斜めにカメラを構えると、ピントはその一部にしか合いませんが、レンズのティルト角を調節することで全面にわたるピント(パンフォーカス)を得ることができたり、逆に被写界深度を浅くすることができます。

101225f_3◆被写界深度変化の説明図 <拡大します>

パンフォーカスの例としては、平たくて奥行きのあるものの全面にピントを合わせる必要のある商品撮影では必需の機能です。よく誤解されますが、絞って得られるような「画面全体のパンフォーカス」を得ることはできません。

絞り値をごく大きくすると「小絞りボケ(回折ボケ)」が発生し、せっかくピントが深くなっているにも関わらず全体的にわずかなボケが発生するのですが、ティルトを使うことによって小絞りボケが発生しない中程度の絞りでもパンフォーカスが実現できます。

101225g◆パンフォーカスでの撮影例 <拡大します>

もっともこの写真のようにwebで使う程度の解像度の場合では小絞りボケの影響はわずかですので、思い切り絞っても問題はないでしょう。


逆ティルトでは、ありえないほどのぼかしを非ピント領域に発生させますので、風景写真がまるでミニチュアを撮ったかのような仕上がりになり、いわゆる「ジオラマ風写真」を楽しむためのレンズとして一般の方にも認知されてきたようです。

101225h◆ジオラマ風写真の撮影例 <拡大します>

もっとも最近では、コンデジや入門向け一眼デジカメではソフト処理でジオラマ風に出力してしまうものが出てきたため、わざわざこんな高い(しかもマニュアルフォーカス)レンズを購入しなくても簡単に楽しめるようになってきました。

なお、このティルトも大判カメラの世界では、上下のティルトのみ「ティルト」と呼び、左右のティルトは「スイング」と呼んで区別しています。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010年12月18日 (土)

manfrotto 410 改造 RRSクランプ直付 -3

前回、6角ボルトで固定して完成させましたが、なんともカッコ悪い。皿ビスで固定できないかと思い、入手できそうなネットショップを探していたら海外(B&Hなど)なんかに行かずとも国内でも扱っているショップがあるではないですか。

RRS同様アルカスタイルのクランプメーカーKIRKを扱っている「スタジオJin」

ここで

【スタジオJin】六角穴付き皿キャップインチネジ1/4-20

(長さ3/4"のほう)を購入しました。

RRSクランプに付属の1/4-3/8アダプターを410サイドに使えば上から締められるので、見た目が一段と良くなりました。

101218a◆組み立て構成図 <拡大します>

最後にカメラを載せた画で締めくくりましょう。

101218b◆L型プレートでEOS 5DMarkIIを載せた姿 <拡大します>

このように横位置→縦位置を変えてもレンズのセンター位置が変わらないL型プレートの便利さを発揮しやすいシステムが完成しました。

────────────────────

3回に亘ってレポートしたのですが、本日自分の記事の検索結果をチェックしてたら、私以上にすばらしい加工をされた御仁を発見しました。

都会の森の猫さんのブログ

にて、

マンフロット 410にReally Right Stuff B2 LR ll 1/3

以後、3回にわたった記事でレポートされてます。410のプレートをすっかり平らにしてクランプの向きを標準の向きにされていますので、私のものより使いやすいでしょう。

より使いやすいものを考えていらっしゃる方はこちらを参考にしてください。

最後に。。。

これらの改造は自己責任にて行っています。切ったり削ったりする改造ですので、失敗した場合、当然のことながらメーカーのサポートなどは受けられません。この記事を参考に改造される方はご注意を。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月11日 (土)

manfrotto 410 改造 RRSクランプ直付 -2

いよいよ410のプレート部分の切断です。下の写真のようにカットします。

20101211a

なにしろ簡単な工具しかないものですから、金ノコで切断しヤスリで仕上げることができる程度にしました。また、このヘッド(雲台)は分解が容易ではないため、このままの状態で万力(といっても日曜大工用の木製簡易作業台)に挟むしかないのでちょっと心配です。

加工途中は省き、いきなり加工完了です(笑)。アバウトな切断とヤスリがけで所要時間は約2時間です。

20101211b

写真の左側をまっすぐではなく曲面にしたのは、RRSのプレートに合わせるためなのですが、けずっている最中に思わぬモノを発見。丸印のように三角形の窪みが現れてきました。これは、クイックシューをリリースするノブの軸が収められていた円筒形の凹みを斜めに切ったことで現れたのですが(下図参照)、、、

20101211c

まるでセンター位置の指標のようなので、この状態を活かしたラインで完成させることにしました。

あとは、410のプレートのセンターにある穴を利用してクランプを固定するだけですが、この穴はカメラ止めネジを格納しておくためのもので3/8インチのミゾが切ってあります。3/8"ネジを使って固定したいところですが、RRS側も同径では引き込んで固定することはできないので、RRS側に1/4-3/8アダプターをかませ、1/4"のネジで固定することに。

本当は皿ネジなど見栄えが良いネジがいいのですが、カメラ機材でよく使うため手元にいくつか在庫してある1/4"の6角ボルトで固定することにしました。(6角ボルトは一般的とはいえさすがにインチ系は普通の金物屋では売ってないので、いつも東急ハンズで入手しています)

20101211d

そして完成したものを加工前との比較写真でお見せしましょう。

20101211e◆本来の左側面から(今後はこの向きがレンズ側になります) <拡大します>

20101211f◆本来の撮影者側から(今後は左側面になります) <拡大します>

このように若干コンパクトになりました。

今回の目的である

  • プレートの2段ばきによる剛性低下を少なくする
  • 収納時の長さ、幅をできるだけ少なくする

ということについてはとりあえず満足できるようになりました。特に後者については全長が25mm減ったことで、使おうと思っている三脚ケースに、ギリギリではあるものの入れることができるようになりました(今までは雲台をはずずか石突をはずずかしないと入りませんでした)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年12月 4日 (土)

manfrotto 410 改造 RRSクランプ直付 -1

さて、前回の記事で2台のマンフロット雲台を紹介しましたが、実は#405は最近手に入れたもの。銘板が古いタイプであることからおわかりのように中古での入手です。

いままで#410ひとつの時は、出かけるときにはスタジオスタンドから外し三脚に付け替えていましたが、#405をスタンドに常設し、#410は使いやすく改造しようと思い立ちました。

これらの雲台で採用されているクイックシューは、中判、大判も付けられるように大型のものとなっていて、一般的なデジタル一眼ではちょと大きい。あらかじめシューをつけておくと手持ちの場合はハンドリングに不便です。

また雲台側も当然横の出っ張りがかなりあり、三脚ケースにうまく収まりません(一般の雲台では折りたたんでパン棒をはずせば結構コンパクトになりますが、この#410はどんなに折りたたんでもボリュームがさほど変わりません)。

101204a

101204b

RRS(Really Right Stuff)のクランプとL字プレートのセットを持ってますので、過去何回か#410のシューの上に付けたことはありますが、なんか2段付けというのもバカバカしいので、直付けする方法を模索。そうすればカメラ縦位置への変更はあっという間だし、L字プレートを前もってカメラにつけておいてもハンドリングに不便ではないでしょう。

101204c

こうやって 置いてみるとまさに「付けてくれ」と言わんばかりの絶妙な寸法。右図のようにRRSのクランプは外寸では1mm大きいが、角が大きなアールになっているため、ピッタリ収まることが判明。この取り付け方向は本来の方向と90度違うのですが、上下ティルト、左右ティルトのノブを逆に使えば済む問題。各ノブの位置関係がベストではなくなりますが、左右ティルトはカメラにLプレートを付けるのだから微調整ぐらいにしか使わなくなるのでOKとしましょう。

これで#410の取り付け面の左半分が要らなくなります。あとは簡単な工具(金ノコとヤスリだけ)で加工する方法を考えるだけです。

-次回に続く-

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »