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2011年1月 8日 (土)

ティルト・シフトレンズによらない同効果の表現

キャノンのTS-E、ニコンのPC-Eニッコールといったティルト・シフトレンズや、大判でのティルト・シフトで何ができるかは前に書きましたが、いずれも高額の出費が必要となります。

そこで、ティルトシフトレンズがなくても同効果を得るにはどうしたらよいか考えてみましょう。

【シフト 超広角レンズを使用する】

シフトさせて得る大きなイメージサークルを持った超広角レンズで撮り、切り抜けば同じことになるのは簡単に理解できると思います。

実際に実験した例が下の写真です。

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◆超広角レンズで撮影したもののトリミング <拡大します>

シグマの12-24mmは歪曲収差においては優れた(といっても一見きれいな直線に写っているようで実は真直ぐではない曲者ではある)レンズですので、縦横のラインがきれいに直線であらわされ良好な絵になりました。レンズ特性で、空の色味が若干緑側になっていることと、撮影時間に差があるため手前左の木に光が当たっているのを除けば、ほとんど差はわからないでしょう。

 

【シフト ソフトでパースを補正する】

先すぼまりの(パースがついた)建築物、斜めから撮ってしまった印刷物など、真正面から撮ったように垂直水平を修正したい写真は数多くあるでしょう。撮影前から状況が分かっていればシフトがかけられるレンズを用意すればいいのですが、そうでない場合は。。。

いわゆる「フォトレタッチソフト」(レタッチソフト)(画像修正ソフト)であれば、パースの補正ができるものも数多く出回っています。その昔は画像編集ソフトといえばPhotoshop(フォトショップ)しかなく、撮影だけでなくデザイン一般を行っている私は当初からPhotoshopしか使ってませんので、他のソフトのことは良く知りませんが、フリーソフトのGIMPなどにもあるようです。

一方「RAW現像ソフト」(現像ソフト)のほうでも高機能なものではレタッチ機能が豊富で、Silkypicsでは「デジタルシフト」と名付けられたパース修正機能があるようです。

Photoshopで「フィルター」→「レンズ補正」→「垂直方向の遠近補正」を使って補正すると

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◆Photoshopの「遠近補正」によるパース補正 <拡大します>

こちらは同じレンズで撮ったものなので、色味やコントラストは同一ですが、シフトして撮ったものと同じ画角にしようとすると不足する領域がかなりできてしまいました。また、縦に若干短い比率になるようで、これはパースを補正する解釈がシフトで得られるものとは異なるもののようです。

 

以上2種類のやりかたとも、トリミングでは画像サイズ(解像度)は小さくなるのは当然だし、ソフトで補正すればオリジナルと同サイズでは絵が甘くなるのは理解していただけると思います。従って、最終的に必要とされる画像サイズが大きいものの場合にはシフトで撮ったほうが良いが、それほど大きくない場合(EOS 5DMarkIIでは最大5616×3744ピクセルで撮れるので、その半分程度 - 2400×1800であれば)トリミングやソフト補正で十分と言えるでしょう。

 

【逆ティルト】

前々回に逆ティルトを使った例として「ジオラマ風写真」をあげました。それだけに限っていえば最近のコンデジや入門デジイチにアートフィルターとして採用されている機種があるので、気楽に撮るのならそれで十分だと思います。オリンパスのE-P2ではボカシの位置、方向に制限(ピントが合うのは画面のセンター、横位置のみで機能--縦位置にすると画面の左右がボケる)があるようですが、リコーのCX2の「ミニチュアライズ」撮影ではピントの上下位置、ぼかし具合、縦横の変更ができるようです。

ただ、いわゆる「ジオラマ風写真」以外にも逆ティルトによる「大ボカシ」の表現はいろいろなバリエーションがあります。

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◆ジオラマ風以外の逆ティルト作例
 EOS 5DII+TS-E24mmII  1/350sec F3.5 ISO100 2010/11/20

この写真のように斜めにピントの合う範囲を作ったり、ボカシ量を調整するにはティルト・シフトレンズを使用しないと困難でしょう。

 

【ティルト(パンフォーカス)】

スティルライフ(最近はテーブルフォトといったほうが通りがいいのでしょうか)では、商品撮影など商業写真ではピントをすべてに合わすのが標準ですが、フィルム(イメージセンサ)サイズが大きいものほど相対的に被写界深度が浅くなるため、絞りを深くする必要が出、それでも追い付かない場合にはティルトが必要になります。

そういう意味では最近のコンデジは画質の点でかなり良くなってきており、イメージセンササイズが小さいことに起因する被写界深度が深い点は、この場合有利でしょう。コンデジで撮るというのも一つの選択肢です。

趣味の写真では、あまり好まれませんが、商業写真においては結果を出すために様々な方法を駆使しますので、パンフォーカスに関しては、レタッチソフトを使用することが結構あります。

とはいえ、合っていないピントを合わせることは不可能ですので、ピントの合う領域が異なる数カットを合成して作り上げます。

Photoshopなどレイヤーが管理でき、マスクが使用できるソフトを使い、ピントが合った部分を合成していくのです。

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◆Photoshopでの合成の概念図

実際にはこの概念図のように簡単ではありません。3カットではとても足らず、マスクも被写体に合わせる必要があるのですが、なによりもピントを移動したことによる微妙な画角(サイズ)違いを合わせるのが大変です。

CS4以降では、この合成が「被写界深度の拡大」という機能により簡単にできるようになりました。

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◆Photoshop「被写界深度の拡大」を使用したパンフォーカス写真 <拡大します>

これは「被写界深度の拡大」というメニューがあるわけではないので気が付いていない人も多いでしょうが、説明が長くなるので次回はこれに焦点を合わせて書こうと思います。

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