« Photoshopで被写界深度の拡大 | トップページ | ティルトの効かせ方のコツ »

2011年1月22日 (土)

TS-E24mm 新旧比較

キヤノンのティルト・シフトレンズ TS-Eレンズは、過去 24mm、45mm、90mmの3点だったものが、2009年に広角側に17mmのラインナップが増え、24mmは新型に入れ替えになりました。

24mmは過去旧タイプを使っており、昨年末に新型に買い換えたため、新旧の比較を行ってみました。

まず、スペック上の比較です。

TS-E24mm F3.5L TS-E24mm F3.5L II
画角(水平・垂直・対角線)74゜・53゜・84゜ 74°・53°・84°
レンズ構成9群 11枚 11群 16枚
絞り羽根枚数8枚 8枚
最小絞り22 22
最短撮影距離0.3m 0.21m
最大撮影倍率0.14倍 0.34倍
ティルト角度±8° ±8.5°
シフト移動量±11mm ±12mm
イメージサークルφ58.6mm φ67.2mm
最大径×長さφ78mm×86.7mm φ88.5mm×106.9mm
質量570g 780g
フィルター径72mm 82mm

まず、見た目がとても大きくなりました。

201101221
◆左:旧型 右:新型

全長で20mm、径で10mmも増え、重量に至っては200gも増えています。大きさのイメージとしては24-105Lを径のみ若干太くしたような感じです。

手ぶれ補正機能などありませんし、マニュアルフォーカスなのでフォーカス用のモーターすらないので、普通のレンズしか知らない人にとっては異様かもしれません。

当然、大きさ・重さが大きく増したのは、レンズ枚数が増え、レンズ径を大きくしたことによるものですが、ティルト・シフト間の角度が変えられる「TSレボルビング」機能が付いたことにより鏡胴の構造が複雑になったことも影響していそうです。

また、使い勝手も向上しています。

  • ティルトの角度表示がセンターからずれた見やすい位置になった
  • ティルトのロック機能がついた(ロックつまみだけでなくロックレバーによる確実なロック)
  • シフトつまみに径が大きくなるキャップが取り付けられる(ただしストロボ内臓タイプのカメラではレボルビングするとストロボ部にぶつかるので1D系、5D系のみに有効)

機能の面では、ティルト幅・シフト幅ともに若干大きくなり、最短撮影距離は非常に近くなりました。最短撮影距離やティルトでは、その恩恵を受ける局面は私の場合はあまりないのですが、シフトにおいての11mm→12mmの拡大は画を撮ってみるとわかりますが結構差があります。

201101222
◆同位置で日を違えて撮影(旧型:2010/11/20 新型:2010/12/11) いずれも 1/45sec F11 ISO100

新型のTS-E 2機種はいずれもいい性能のようですが、17mmまで手が出ない私としては24mmでなんとかやっていくしかないので、少しでもシフト量が大きいのはありがたいです。

24mmでシフトして撮ることができれば建築写真での使用は多いでしょう(事実私も建築写真ぐらいにしか使っていません)が、その際、歪曲収差は避けたいものです。旧TS-E24mmは、まあ許せる程度の歪みでしたが新型はどうでしょうか。

201101223
◆すべて 1/60sec F8 ISO100 撮影日:TS-E旧型は2009/10/04 それ以外は2010/12/30

樽型の歪曲収差はやはりあります。若干は良くなっているようですが大きな改善は見られません。(ただし、この手のチャートは近距離での撮影のため歪曲は大きくなります。遠距離~∞では改善します)

また、旧型のTS-Eでは、24mm、45mmともに色収差が大きく、DPPやPhotoshopでも自動で収差を除去することができない(レンズ中心が画像中心にかならずしもあるわけではないTS-Eレンズは収差を補正するための補正データを作りようがない)ため、レタッチがやっかいなレンズだったのですが、色収差はどのように改善されたでしょうか。

まずはシフトなしの状態で。

201101224_2
◆同位置で日を違えて撮影(旧型:2010/11/20 新型:2010/12/11) いずれも 1/45sec F11 ISO100  もとの画像サイズは3744×5616

200%で撮影画像を見るというのはあまり好きではないのですが、差をはっきりさせるために周辺中央部を拡大しました。かなり改善されているのがお分かりかと思います。

次にシフトした場合は

201101225
◆同位置で日を違えて撮影(旧型:2010/11/20 新型:2010/12/11) いずれも 1/45sec F11 ISO100
 もとの画像サイズは3744×5616

空の状態が異なり、被写体のライティングが違うため、正確な比較ができなくて申し訳ないのですが、さすがにシフトするとそこそこの色収差は出てきてしまうようです(しかも異なる色合いの)。

私にとってはティルト・シフトレンズ群は商売用のレンズなので、色収差や解像感などアップした新しいモデルになったことで大変恩恵を得ていますが、大きく重い広角レンズは気軽に持ち歩くにはちょっと気が引けるのではないでしょうか。

|

« Photoshopで被写界深度の拡大 | トップページ | ティルトの効かせ方のコツ »

TS-Eレンズ」カテゴリの記事

コメント

有難うございました。大変参考になりました。
結局はレンズ焦点距離が決まればシャインプルーフの交点とカメラ光軸までの距離Xのみでティルト角度aは決まるのですね。

投稿: ken | 2012年1月25日 (水) 12時57分

お役に立ったようでこちらも嬉しいです。
ティルトの概念は簡単なのですが、実際はなかなか難しいものです。被写体に対する角度がちょっと変わっただけでも調整しなおしですから。

広角で遠距離ですと、ティルトしなくてもちょっと絞ればパンフォーカスに近いので、ティルトさせすぎると悲惨な結果になりますのでご注意くださいね。

投稿: seimas | 2012年1月25日 (水) 18時03分

たびたびの質問で申し訳ありません。貴殿の記事中にもあります、レンズの主点の焦点移動距離を正確に知りたいのですが、後ろ側レンズの移動距離とは異なるように思いますが如何でしょうか? メーカーに聞きましたが教えてくれませんでした。
ティルト角度を正確に計算するのに把握したいのですがー
ご存知でしたら教えて頂けませんでしょうか?

投稿: ken | 2012年2月 3日 (金) 10時06分

kenさん、こんにちは。
主点の移動(繰出量)はピントを近くにする場合に若干増していくというもので、レンズの焦点距離によって決まります。各々のレンズ、メーカーによって異なる類ではなく計算式で求められますが、結論からいえば、お持ちの24mmでは50cmまで近づいても1mm増す程度ですので気にしなくても大丈夫です。
話が長くなりますので、後の分はメールにてお伝えします。

投稿: seimas | 2012年2月 3日 (金) 18時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: TS-E24mm 新旧比較:

« Photoshopで被写界深度の拡大 | トップページ | ティルトの効かせ方のコツ »