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2011年2月19日 (土)

パンフォーカスを得るティルト角の計算

ティルト・シフトレンズを上手に使うには、ティルトをマスターする必要がありますが、過去、私はかなり感覚的に行ってきました。

前々回、前回で実験を行いましたが、その際にも、過去の経験でだいたいこんなものかという感覚で合わせ、前後の角度でピントがずれていくのを確認していたのですが、普段あまり行わない距離(前回の「中距離」)では感覚がつかみにくかったり、普段使わない見下げ角では混乱しました。

前にも述べた通り、「適切なティルト角はシャインプルーフの原理に従って、三角関数で求められる」ので、数値をまとめてみました。

110219a3

ティルト角(上図:a)は、レンズ主面と撮像面の距離(≒レンズの焦点距離)(A)、撮影距離(B)、パンフォーカスにしたい面との角度(b) の3要素で決まり、焦点距離は4タイプしかないので、各レンズ毎に一覧表にしてみましょう。

表の赤バックの部分はTS-Eレンズで追い切れない角度です。 

(2012.02.06: レンズ主面と撮像面の距離は撮影距離が無限大のときレンズの焦点距離と同じになります。被写体が近いほどピントを合わせるためにレンズが繰り出されますが、下の表を作るにあたっては繰り出し量を一様にして計算しています。従って下の表は実際は近距離では角度が大きく、遠距離では小さくなるのですが、それもティルト回転が主点で行われるという前提に立ったものですので、そもそも主点がティルト回転の中心にはない当レンズでは厳密な計算はできません。あくまで目安とお考えください)

 

焦点距離:90mm 繰り出し量を10mmとしてAを100で計算 

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.5 6.6
0.6 5.5
0.7 4.7
0.8 4.1
0.9 3.7
1.0 3.3
1.2 2.8
1.5 2.2
2.0 1.7
3.0 1.1
4.0 0.8
5.0 0.7
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.5 11.3
0.6 9.5
0.7 8.1
0.8 7.1
0.9 6.3
1.0 5.7
1.2 4.8
1.5 3.8
2.0 2.9
3.0 1.9
4.0 1.4
5.0 1.1
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.5 19.1
0.6 16.1
0.7 13.9
0.8 12.2
0.9 10.9
1.0 9.8
1.2 8.2
1.5 6.6
2.0 4.9
3.0 3.3
4.0 2.5
5.0 2.0

 

焦点距離:45mm 繰り出し量を5mmとしてAを50で計算 

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.4 4.1
0.5 3.3
0.6 2.8
0.7 2.4
0.8 2.1
0.9 1.8
1.0 1.7
1.2 1.4
1.5 1.1
2.0 0.8
3.0 0.6
4.0 0.4
5.0 0.3
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.4 7.1
0.5 5.7
0.6 4.8
0.7 4.1
0.8 3.6
0.9 3.2
1.0 2.9
1.2 2.4
1.5 1.9
2.0 1.4
3.0 1.0
4.0 0.7
5.0 0.6
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.4 12.2
0.5 9.8
0.6 8.2
0.7 7.1
0.8 6.2
0.9 5.5
1.0 4.9
1.2 4.1
1.5 3.3
2.0 2.5
3.0 1.7
4.0 1.2
5.0 1.0

 

焦点距離:24mm 繰り出し量を1mmとしてAを25で計算 

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.3 2.8
0.4 2.1
0.5 1.7
0.6 1.4
0.7 1.2
0.8 1.0
0.9 0.9
1.0 0.8
1.2 0.7
1.5 0.6
2.0 0.4
3.0 0.3
4.0 0.2
5.0 0.2
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.3 4.8
0.4 3.6
0.5 2.9
0.6 2.4
0.7 2.0
0.8 1.8
0.9 1.6
1.0 1.4
1.2 1.2
1.5 1.0
2.0 0.7
3.0 0.5
4.0 0.4
5.0 0.3
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.3 8.2
0.4 6.2
0.5 4.9
0.6 4.1
0.7 3.5
0.8 3.1
0.9 2.8
1.0 2.5
1.2 2.1
1.5 1.7
2.0 1.2
3.0 0.8
4.0 0.6
5.0 0.5

 

17mmに関しては割愛します。このレンズでブツ撮りをする方はまずいないでしょうから、近距離のデータは意味がないですし、中~長距離に至っては、1°未満の微妙な角度ですので、あえて表にしなくてもいいでしょう?(笑)

まあ、このような表があったところで、実際の撮影現場で、完全に平らなものばかりが並ぶことはまれです。傾向を掴む上での参考にしてください。

(なお、今回この表をまとめていて、前々回のデータの解釈が間違っていたことが分かりました。45°で8°ティルトでパンフォーカスになっていないのは、角度が多すぎたのではなく足りなかったためでした・・・7°でフォーカスがよりしっかりしていたのは何か他の条件によるもののようです・・・トホホ  従って当該記事も加筆修正しました)

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コメント

はじめまして。TS-Eレンズの使い方を調べていたら貴サイトへ辿り着きました。メニュー用の料理写真を撮りたいのですが、コース料理など奥行きはティルトでカバーできるのですが高さは絞りで合わせるのでしょうか。TS-E90mmを考えています。撮影距離は1.5~1.8m位です。
三角関数がまったく理解できません。お恥ずかしい限り。周りにも説明してもらえる人がいません。上記の例で実際に数字を入れて説明をしていただけないでしょうか。お忙しいとは存じますが何卒よろしくお願い申し上げます。

投稿: Genちゃん | 2012年2月10日 (金) 14時40分

結論から言えば、高さ方向は絞りで調整しなければなりません。
被写界深度の計算は、「被写界深度」「計算」で検索すれば、考え方、計算式の説明、また自動で計算してくれるサイトもありますのでここでは省きますが、90mmレンズでフルサイズの場合には1.5mの撮影距離で
F11の場合20cm程度
F8の場合15cm程度
の被写界深度が得られますので、コース料理ですと見下げ30度ぐらいでしょうから、何とかパンフォーカスが得られると思います。

投稿: seimas | 2012年2月10日 (金) 20時24分

お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。
ありがとうございました。カメラは1Dmark3です。
F16、F11、F8では何センチになるでしょうか。
ご教授よろしくお願いいたします。

投稿: Genちゃん | 2012年2月17日 (金) 21時28分

「被写界深度 計算」でネット検索すればおわかりのように
一般に許容錯乱円の計算により求める被写界深度では、この90mmレンズでは

撮影距離1.5mの場合
F8 11.6cm
F11 15.9cm
F16 .23.2cm

撮影距離1.8mの場合
F8 16.7cm
F11 22.9cm
F16 33.5cm

が求められます。

しかし数字だけではピンとこないようですので、実際撮影し、新しいブログ記事にしてみました。

http://seimas.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-46ec.html

参考にしてください。

投稿: seimas | 2012年2月20日 (月) 02時44分

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前回はTS-Eレンズの機能であるティルトとシフトについての説明だけで終わってしまったが、どのような状況でどれくらいティルトすればいいのかを身につけるべく練習に出かけた。 [続きを読む]

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