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2012年2月20日 (月)

ティルト撮影 実用実験

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過去の記事 「パンフォーカスを得るティルト角の計算」 でGenちゃんさんより、1Dmark3でTS-E90mmを使い1.5~1.8mの撮影距離でコース料理を撮る場合、高さ方向のピント合わせはどうするのかとの質問があったので、実際と同じような環境を作り実験してみました。

確かに料理写真では 「ティルト角によるフォーカス変化の実際 -近距離」「ティルト角によるフォーカス変化の実際 -中距離 」 での実験のように高さがないまっ平らなものを撮影するのと違って、被写界深度を深めなければなりません。結論を言えば「絞って撮る」ということにはなります。

非常に近い被写体の場合は、ティルトを利用してもすべての被写体にピントを合わすのは困難だということは「Photoshopで被写界深度の拡大」 で説明しましたが、コース料理くらいの距離、サイズの場合はティルトでほぼパンフォーカスが得られます。

一般に許容錯乱円の計算により求める被写界深度では、この90mmレンズでは

撮影距離1.5mの場合
F8  11.6cm
F11 15.9cm
F16 23.2cm

撮影距離1.8mの場合
F8  16.7cm
F11 22.9cm
F16 33.5cm

が求められるようです(詳しくは 「被写界深度 計算」でネット検索してください)が、等倍観察ができる高画素のデジタルデータでは、許容の境界線があいまいとなっていますので実データでお見せするのがいいと思い実験した次第です。

残念ながら料理を用意することはできませんので、23cmの皿に適当な撮影小物を乗せてそれ風なものを作ってみました。

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見ていただく画像は、JPEG撮って出し(ピクチャースタイル:スタンダード)でアンシャープマスクはおろか、色調、ガンマもいじらないものにしました。当然、仕事で納品する写真は補正を入れるので、このような生の画像をお見せするのはどうかと思ったのですが、説明がピントに関わることですので致し方ありませんな(笑)。

まずはティルトしないでf/16まで絞るとどうでしょう。(画像は拡大します)

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私の使うカメラはフルサイズの5DMarkIIなので、若干大きめに撮り、トリミング(写真の白枠線)で1Dmark3のサイズで撮った場合の雰囲気になるようにしました(トップ画像はそのようにトリミングしたものです -拡大します)。5か所のピントチェック箇所は等倍にしてあります(拡大時)。

まず、背の高いものが奥にあるため、中景の頂上にピントを合わせました(3.)。通常はトップ画像のようにもっと手前にピントを合わせますが、以下意味のあるようにこんな奥にピントを合わせました。

f/16まで絞っても、手前(4、5)や奥(1,2)のピントは甘くなっていますが、後ピンにしたためピッチャーの口(1.)には結構ピントがきていることがおわかりいただけると思います。

そこで、ティルトを3°、5°、7°と変え、絞りをf/4、f/8、f/16と変えたものを比較します。
「パンフォーカスを得るティルト角の計算」 の表で、今回の実験の条件ならピント面が水平面になるのは6°付近なのですが、手前にあるものが高さが低いため、それより若干浅いものをメインに、より浅いもの、より深いものを見ていきます。

【ティルト角3°での撮影】

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ピントを合わせた3.は当然として、ピッチャーの口(1.)が開放からピントが来ています。これはバラとピッチャーの上部を結ぶ平面にピント面が来たことを表します。

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そのため、手前の皿にもかなりのピントがきていますがベストではないため絞らないといけません。等倍カットがない右手奥の皿の白い砂も厳しいのは2.のボケ具合から類推してください。またf/16まで絞るとそろそろ「小絞りボケ」が始まっているのは1.の状況でおわかりいただけると思います。

 

【ティルト角5°での撮影】

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ピント面がほぼ水平面になったためバラの頂点(3.)以外は開放ではボケます。しかし絞れば全体に一様にピントが合った状態になっていきます。f/16のものは通常撮影より良好で特に手前の皿にしっかりピントが来ています。

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【ティルト角7°での撮影】

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これではティルトし過ぎで、手前は皿よりかなり上の位置にピント面が来てしまいました。そのかわり、ピッチャーの底のあたりは開放からピントがきており、同様に右手奥の皿はピントがしっかり来ています(等倍カットはありませんが)。

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今回は各要素の高さの関係で、3番目の皿の頂上にピントを合わせて実験してみたのですが、ティルトのちょっとした差が高さ(深さ)方向に与える影響が結構あることがおわかりいただけたと思います。このようにティルトでパンフォーカスを得るのは、まっ平らな被写体ではない場合には熟練が必要です。

今回のレイアウトではだいたい3~5°のティルトでf/8~f/16の絞りで問題のない撮影ができることが分かりましたが、実際の場面ではこれと全く同じレイアウトはないでしょうし、それぞれの皿の重要度も違うはずです。ピントを合わせる場所を的確に捉えた上でティルトの利用を考慮することが重要です。

また、いわゆる「小絞りボケ」も、等倍で観察すると気になる存在ですが、それよりも全体にピントがきていることが大事な場合は思い切り絞って写すべきだと思います。

なお、等倍で画像全面を確認されたい方のために 別ページ も設けてみました。詳細を知りたい方は参考にしてください。

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コメント

お忙しいところ懇切丁寧な説明をしてくださりありがとうございました。おかげ様でいままで理解できなかったことがようやく理解できました。私もTS-E90mmが欲しくなりましたがその前に腕を磨かなければいけません。seimas様の益々のご活躍をお祈り申し上げます。ありがとうございました。

投稿: Gen | 2012年2月22日 (水) 13時23分

こちらこそ、いい実験ネタのきっかけを与えてくださってありがとうございました。

普段なんとなく経験から「このぐらい!」って決め打ちして設定しているのですが、しっかり実験データとして残そうとすると自分でも理解していなかったことが判ってきました。

ぜひ業務にTS-Eレンズをお役立てください(キャノンの回し者じゃないですよ 笑)。

投稿: seimas | 2012年2月22日 (水) 21時30分

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