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2012年10月の3件の記事

2012年10月28日 (日)

Camlight PL-88 その2

20121027a

Camlight PL-88は映像作成、特に報道などで便利なように設計されていて、スチル主体の私がレポートするのも何ですが、これが結構使えるモノです。

前回、「漸次暗くなっていくためマニュアル撮影時には露出の変更が必要」なバッテリー式のLEDライトにおいて、「この製品は解決している」と説明しましたが、実際の計測データをお見せしましょう。1mの距離でのセンター照度の測定です。

なお、比較のためCN-126のデータ(電池はエネループ)も併記しますが、「LEDライトCN-126の電池の持ち」 の回のものではなく再度計測したものです。

20121027b

最初に降下はあるものの、見事に1ルクス前後の差で明るさ(照度)が維持されています。やはりフル点灯では2時間持たないのですが。絞ることによってかなりの長時間の連続撮影が可能です。

20121027c 20121027d 背面の調光スイッチにより出力が変えられます。目盛は2刻みで2から10までありますが、必ずしも2が10の1/5の明るさというわけではありません。これも上と同様に1m離しのセンターでの照度測定で

目盛 照度 lx
10 1,360
8 1,090
6 900
4 720
2 540
On 150

となっています。(上のデータとは測る条件が異なってますので数値は一致していません)

また、背面のバッテリー状態のLEDインジケータは、満杯で緑のみ、減るに従って緑+橙、橙、橙+赤、赤と変わります。

赤のみになるのはバッテリーがかなり減った状態ですが、赤のみになってからも(フル点灯時で)6~7分はライトの明るさは維持されますが、その後ブルブルっと明滅して「スーッ」と完全に消えます。インジケータが赤だけになったら慌てず撮影を終了する準備に入れば撮影中にランプが消えて困る(特に動画時に)ようなことはありません。

 

20121027e また、付属のディフューザーは弱めの乳半プラスチックを「シボ」で荒らしたタイプのもので、透過性は高い半面、拡散性はそう高くありません。

実際の照射の状態を目で見た感じに近く写真に撮ったものが以下のものです。

白塗装の壁に向かって1m離れた地点から照射しています。(カメラはその後ろ約1mから、レンズは40mmで撮っています)

20121027f 20121027g

「インタビューライト」といったジャンルの、ムービーカムのシューに取り付けて人物などを照射するのがメインですので、光の「散り具合」はこんなところでしょう。

20121027h またもうひとつ付属のタングステン変換フィルターは色プラスチック製のこれまた「カポッ」とはめ込むタイプです。

これにより 6100ケルビンの光(器具スペックでは5600Kになっていますが私のカラーメーターではこう出ました)が3700ケルビンに変換されます

右の写真はカメラ(5DII)のホワイトバランスを5600K(左)、電球(右)で撮ったものです。

電球光下でのミックス光は私の場合まず使わないのであまり用はないのですが、5DIIのWBとの相性は良いようです。

コンパクトながら、現場での要求にそこそこ応えている、なかなか良い製品だと思います。スタジオでのブツ撮り用に開発されたものではないのですが、小物などの場合、ちょっと工夫(ディフューザーなど)すれば十分使えるアイテムです。

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2012年10月15日 (月)

撮影用LEDライト Camlight PL-88

20121014a

当ブログでは過去、CN-126という安価なライトについて 記事をアップしました が、私はそれ以外にもLEDライトを使用しています。

CN-126は、単三バッテリーが使えるフレンドリーな仕様はいいのですが、欠点として

  1. バッテリーのみの電源仕様なので丸一日の撮影などでは電池が大量に必要
  2. LEDの光色(色温度、M/G偏差)のバラつきが個体間である
  3. 漸次暗くなっていくためマニュアル撮影時には露出の変更が必要

などがあります。

このすべてを解決している製品がCamlightのLEDライトシリーズです。私はこの中のPL-88 を使用しているのですが、この下にコンパクトなものが2機種、上はTVスタジオなどで使える規模の大光量のものが数機種あります。

このPL-88、アルミ製の筺体でとてもしっかりしていて、CN-126などで感じる「すぐ壊れそうだな」という心配感がありません。

20121014b

サイズはΦ100×96mm、根元(回路+リチウムポリマー電池)--Φ62×78mmにΦ100×18mmの灯具が付いた形状です。根元上下には1/4インチのカメラねじ穴があり汎用性が高くなっています。背面にあるon-offスイッチ兼用のロータリースイッチによる調光が可能です。

また背面のジャックで、バッテリーチャージャーから充電するタイプなのですが、そのままACアダプターとして使用することも問題ないようです。

20121014c 20121014d 製品のパッケージは、

・本体
・バッテリーチャージャー
・シューマウント用自由雲台
・1/4”ネジコネクター
・ディフューザーキャップ
・タングステン変換キャップ
・ポーチ

で構成されていて、本体は前後が分割された状態になっています。

この前後の接続部分が、実に凝った設計で、ボタン電池の接点のようなものですがより信頼度を高める工夫をしているようです。

それをしっかりねじ込んで本体が完成されます。

ここが分割されているのは、光色別の灯具のみ入れ替えて販売できる(日本では5600Kのモデルしか販売されていません)という工場側のメリットによるものでしょう。

製品の完成度は非常に高いもので、メーカー曰く「1個1個のLED球を測量してデイライトとタングステンカラーを規定値となるように手間暇かけた製品」だそうで、確かに個体間の偏差は非常に少なくなっています(そのへんは追々ご紹介します)。

20121014e

CN-126の126球に比べ、このPL-88は144球ですので、コンパクトに凝縮されていることはこの写真でおわかりだと思います。

また、光量も球数以上に差があり、倍近い中心照度です。

CN-126 : 710lx (1m)
PL-88  : 1220lx (1m)

よりコンパクトで高光量、AC電源も使えるということで、スペックではPL-88に軍配は上がりますが、その分価格も高いので購入には躊躇するかもしれません。

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2012年10月 7日 (日)

TS-E90mm F2.8でマクロ撮影 -3

20121006a

前回、「エクステンションチューブをつけることのメリットがいまいちピンとこない」とのコメントをいただきました。確かにマクロレンズのほうが(まさにそのために作ってあるので)、何倍も使い勝手がよいのは確かです。

また、上の写真のようにとんでもなく全長が伸びるのも困ったものです。写真はエクステンションチューブEF25を2個、EF12を1個つなげたものですが、これでやっと等倍撮影。全長180mmにもなり、同じ等倍撮影ができるEF100マクロの1.5倍も長い「玉」になってしまいます。

しかし、シフトやティルトの機能が引き続き利用できることがTS-Eレンズの大きなメリットです。

 

【シフト】

20121006b1 このTS-E90mmは11mmのシフトが可能になっています。ただ今まで詳しい説明を省いていましたが、これは「無限遠時」のシフト量です。実は最近接時(0.5m時)には見かけ上、もっと大きなシフトが得られます。下のように画面の半分以上(横位置時)のシフトが得られるのです。

20121006b2

これが、エクステンションチューブを使用すると、もっと大きな移動量(あくまでも画面上での移動量)が得られます。次の写真は、上と同じものを、EF25×2+EF12で撮ったものです。

20121006b3

 

【ティルト】

ティルトでパンフォーカスを得るのは、「撮影距離」「レンズ主面と撮像面の距離」「見下げ角度」で決まり、撮影距離が近い・レンズ-像面距離が遠い・角度が浅い ほど不利(TS-Eレンズでは追い切れない)であることを 「パンフォーカスを得るティルト角の計算」 でご紹介しました。

さて、エクステンションチューブを使用すると、撮影距離、レンズ-像面距離とも不利になります。完全なパンフォーカスを得るのはチューブを繋ぐほど難しくなります。以下、かなりの見下げ(見下げ角60度)で実験した3状態(EF25で2距離、EF25×2+EF12で最近接)です。(各々クリックで拡大します)

20121006c

20121006d

20121006e

EF25の最遠距離時はチューブを付けない最近接時とほぼ同じ状態ですので、ほぼ計算(一覧表)通り、ティルト7度でパンフォーカスが得られています。しかしそれ以上の延長時および近接時では(かなり真俯瞰に近い印象の)60度でもパンフォーカスは得られません。浅い角度での撮影ではもっと条件が悪くなりますが、それでも絞り何段か分の被写界深度が得られることは確かです。

20121006f 右の写真はTS-Eレンズを持たない頃、kissDNにEF-S60mmマクロでf/32まで絞り込んで撮ったマイクロチップです(チップ表面には型番等のプリントがありますが都合により消してあります)が、奥の稜線にはしっかりしたピントがきていません。

その時は印刷時に切手ぐらいの大きさだったのでクライアントも問題ないと判断しましたが、これが「抜き」でもっと大きな扱いだったらちょっと使えません。

その時、「今度こんな仕事が来たらヤバイな」と思いフルサイズ、TS-Eに移行したのですが(理由はそれだけじゃないですよ 笑)、結局それ以来、このような小さなものでパンフォーカスを必要とする撮影は来ていないのですが。

 

【チューブ使用時の注意】

AE撮影時は関係ないのですが、露出をマニュアルで行うときは露出補正が必要となります。チューブをつけて像面を遠ざけるので、遠くになれば光が弱まる理屈での現象であることははおわかりいただけるでしょう。以下に私の実測値を記します(計算上・理論上ではないので正確かどうかはわかりません)。

使用
チューブ
EF12 EF25 EF25
+EF12
EF25
+EF25
EF25
+EF25
+EF12
延長 12mm 25mm 37mm 50mm 62mm
補正 +0.7段 +1段 +1.3段 +1.7段 +2.3段

 

通常の撮影では、画角(被写体をどうフレームにおさめるか)と撮影距離の関係はそう難しくはありませんが、チューブを付けた近接撮影では、チューブ長さが長くなるほどピントの合う範囲(ピントリングで調節できる距離)が極端に短くなるため、そもそも被写界深度も極端に薄いことと相まってピント合わせが困難になります。

20121006g そこで使用したいのがスライドレールです。私はベルボンのスーパーマグスライダー を使っているのですが、最近ベルボンからその姉妹機で左右のスライドを省いた スーパーマグスライダー(前後のみ) というものも出ています。

ただ、アルカスイス互換のL字ブラケットを使用して縦位置で撮るとき(上のティルト実験)などこのスライダーの上にクランプを付けてカメラを縦位置にするとかなり「ヘニャヘニャ」した感じになります。ミラーアップでレリーズ使用ならば問題ありませんが、シャッターボタン使用だと「ブレるかも」といった印象です。

もしアルカスイスタイプのクランプ、プレートをお使いなら、そのシステムのレールのほうがよいでしょう。KIRKからは マクロ撮影用フォーカシング・レール や簡易的な マクロ撮影用Newロングレールプレート が出ています。

マニュアルフォーカスでただでさえ扱いが面倒なTS-Eレンズですので、「マクロ目的」で購入される方はいないとは思いますが、すでにお持ちの方はちょっとの出費で応用範囲が広がることは確かです。

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