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2013年6月22日 (土)

TS-Eレンズでシフトスティッチ

20130622a

 

TS-E24mmと17mmのテストをしたついでに、過去記事 「TS-Eレンズ ティルト・シフト応用編 -2」 で説明したパノラマスティッチについて、再度取り上げましょう。ここで、タイトルを「パノラマスティッチ」ではなく「シフトスティッチ」にしたのには訳があります。

一般的にパノラマスティッチするには、カメラをスイング(パン)させて、円筒形状の平面に写し込むことになります。従って、広い平面状の被写体に正対して撮ると、センターと端では距離が異なるため、遠くになってしまう画面両端ほど小さく、すなわち「中膨らみ」の画像になります(図では平面が「中折れ」でつながった多角柱上の画像になっていますが、これを滑らかにつなぐことが必要になります)。

20130622b

一方シフトによるスティッチは同平面上をスライド(シフト)した画像の繋がりなので歪みはありません(原理上。実際にはレンズの収差などはあります)。

そこで、シフトスティッチとした訳ですが、特に正しい呼称があるようではありません。「シフトパノラマ」と呼んでもかまわないでしょう。

さて、TS-Eレンズの広角タイプには24mmと17mmがありますが、レンズの特徴について以下のことはご存じでしょうか。「焦点距離が1.4倍のレンズを縦位置で使うと、画角の天地はほぼ同じになる」。

20130622c

24mmレンズの縦位置と17mmレンズの横位置で、画角の天地はほぼ同じになります。こうやって見ると、単焦点で50、35、24、17と揃える意義がまた一つ増えるでしょう。

20130622d_2 過去記事でも、縦位置にして横シフトした画像を繋げば約2倍(フルシフトせずに、重複部分「掛かり代」を若干設けることが大事なので2倍弱となります)の大画面になると説明しましたが、要はTS-E24mmでこれを行えば、17mm相当の画角になるということです。

通常パノラマスティッチするときは、掛かり代を相当に設けないと、上に示した多角柱からなめらかな円筒状になりません。また、周辺の諸収差も吸収できません。パノラマ生成ソフトでもこの重複部分を充分に設けていないと生成してくれません。

ところがティルト・シフトレンズであれば、広大なイメージサークルの連なる部分で繋ぐのですから、基本的には重複部分は最小で済みます。

実際に2枚の縦位置の写真を繋いでみましょう。

20130622e

前回と同日に撮ったほぼ同じアングルです(EOS5Dmk3 F11 1/6 ISO200 ホワイトバランス:AWB、ピクチャースタイル:スタンダード JPEG撮って出し)。これを繋ぐのですが、2枚を適切な位置で合わせても、マニュアル露光でも若干光量が違っていたり、ましてや外光では雲の具合で明るさが異なっています。また、カメラのセンサーの周辺特性などもありきれいには繋がりません。そこで繋ぎ目となるところをグラデーションで消してやります。また、ただシフトしただけでも数ピクセルの上下のずれは発生するので、上下も合わせます。

20130622f レイヤーの管理できるソフト(この場合はPhotoshop)で2枚を並べ、2枚の位置を揃え、継ぎ目をグラデーション消し(大きなサイズの「柔らかな」消しゴムを垂直に直線引きすれば良い)するだけで以下のようなものができます。(クリックで1200×800pxに拡大します)

20130622g

左右の明るさが微妙に違うことがわかりますが、きれいに繋がっています。同場所、同条件(SSのみ1/8と速いため若干暗い)で撮った17mmのほうも比較で載せましょう。(クリックで1200×800pxに拡大します)

20130622h

アスペクト比は異なりますが、同じような画角を約2倍の解像度で表現できます。EOS5Dmk3ではラージJPEGで3840×5760ピクセルですが、それを2枚繋いだので7464×5744ピクセルになります(足りない左右は掛り代の分。上下はズレの解消)。

ただ、過去にも触れた、「レンズをシフトするのでは視差ができ、継ぎはきれいではない」ことが、この写真では手前のコンクリート地面のところに現れています(クリックで1200×800pxに拡大します:等倍画像)

20130622i

20130622j これを防ぐには、三脚にカメラを固定してレンズのほうをシフトする一般的な撮り方ではなく、レンズを固定し、カメラのほうをシフトする必要があります。

「気になっている製品」としてご紹介した proPsolution TSE アダプター はまさにそのための製品です。TS-E用のレンズ座といえるもので、レンズが固定されているので、シフトするとカメラのほうが移動します。

カメラを固定している方法でも、レンズのシフト量を相殺するカメラの逆移動ができれば同結果となります。ベルボンのスーパーマグスライダーは前後だけでなく左右の移動もギアで行えるので画角ずれなど起こしにくいでしょう。ただし移動量の目盛がなく、ノブ1回転で4mm移動することを覚えておいてノブの回転数で判断しなければなりません。

アルカスイス規格のプレートを利用していれば、だいたいのクランプには目盛が打ってある(モノによってはmm単位)ので、一度クランプをゆるめ相殺する量だけずらして再度固定する方法もあります。ただこの場合、ゆるめて再度固定する際に光軸のずれが起きやすいので要注意です。

撮影時に微妙なコントロールをしたくないのであれば、パノラマスティッチソフトを使えば自動で繋ぎの補正をしてくれます。PhotoshopのPhotomerge機能やキヤノンカメラの付属ソフトPhotoStitchでは、この場合の元絵は左右に加えセンター、計3枚あれば自動できれいにスティッチしてくれます。

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