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2013年6月16日 (日)

TS-E17mm F4L 縦位置シフト撮影

20130615a

 

キャノンの超広角ティルト・シフトレンズ TS-E17mm F4L、前回は正位置(シフトしない)で他のレンズとの比較をしてみましたが、何と言ってもこのレンズは「シフト」して使うことに真価があります。

20130615b シフト量は12mm。フルサイズのイメージセンサは約36×24mmですから、縦位置でフルシフトする場合は、画面は1/3移動するということです。(横位置なら半分)

右の図のように、1/3という量は大した移動量ではないように思えますが、実際の現場(建築物の撮影)では、かなりの効果が出ます。

まず、水平(正対)での撮影。前回と同様に、EOS5Dmk3 F11 1/8 ISO200 ホワイトバランス:AWB、ピクチャースタイル:スタンダード JPEG撮って出したものを、無加工でサイズだけ縮小したものです。(各々クリックで1200×800pxに拡大します)

20130615c

前回の横位置の画像では写っていない右下のボールはかなり「ひしゃげ」ます。歪曲収差を改善した超広角レンズを使用して建築物やインテリアを撮る場合、四隅にあるものの変形は避けられないのですが、見る人に形状の誤解を与えないよう、こういった場所に重要な被写体が入らないように注意するのも大事です。

次は、フルの上シフト(ライズ)。

20130615d

ご覧のように、この12mmのライズで、かなり上まで入り込みます。ここで気になるのは四隅の収差・解像感と、先ほど指摘した形状変形。

収差や解像感はこれだけ悪くなります。(右上部・等倍切り抜き)

20130615e 色収差もあり、解像感もかなり悪くなっています。長辺方向のシフトですからイメージサークル周辺に近い場所の性能なのでこんなところでしょう。

20130615f また、形状の変形も著しいです。この排気ダクトは壁取付面の寸法が20×40cmほどで、出寸法も20cmなのですが、この写真でみると4~50cmも出っ張っているように見えます。

この被写体の位置関係は右図のようなものですが、見上げ60度にもなる範囲を撮っているのですから、この程度の変形ができるのも当然です。

先に書いたように、こういう周辺部に、「形状が変形して、誤解を招いては困るようなものがある」ことをなるべく避けるのは仕事の写真では重要なことだと思ってはいるのですが、現場ではなかなか都合よくモノがレイアウトされている訳ではなく、気になる写りの写真になることもよくあります。

20130615g もっとも、この実験において、「この建物を表現する」のならここまでシフトすることはなく、右のように、しっかり床面も入り、適度に2階も表現できる程度のシフトが適当です(8mm弱のシフト)。 (この写真は拡大しません あしからず)

これらの写真は特に収差や周辺減光などを補正処理していませんが、とにかくこのレンズのすごいところは、このような建物に正対している場合でも歪曲を感じさせないところです。

歪曲収差があると、撮影時のプレビューで正しい向きであるかの判断に悩みます。「傾いて見えるのは、正対していないせいか、水平がとれていないのか、レンズの歪曲のせいなのか・・・」 これらを、あとで処理するにしても正しく判断していないと適切には処理できないので、なるべく撮影時に追い込んでおきたい事項です。

無処理でこれだけの写りですから、場合によってはJPEGのみの撮影で済ますことも問題ないでしょう。

 


20130615h 20130615i TS-E17mm F4Lに関するネタをひとつ。

このレンズはご承知のように超広角のティルト・シフトレンズのため、レンズがこれだけ出っ張っています。

キャップも特殊なもので、周りを覆うような形状のバヨネット式(ロック付)のものです。

シフトを考慮すると、かなりの画角のため、レンズフードがありません。

しかし、発売当初に掲示板等で話題になった、「TS-E24mm F3.5L II」のフードをつけてみました。

このフード EW-88B、名称から分かるように呼び径88mmのものですが、TS-E17mmのバヨネット部(キャップのためにバヨネット機構が付いています)は、この呼称に従えば85mmなので3mmも違います。

ただ、バヨネットのバネのおかげで右写真のようになんとか収まりはします。

またケラレに関しては、長辺方向のフルシフトでは結構カブります。フルシフト(やティルト/シフトの共用)はしないというのであれば「なんとか使える」と思います。

確かに、保護フィルターも付けられないので、「せめてフードでも」というのもわかりますし、フードにより悪影響のある光をカットする効果も皆無ではないでしょうが、ほとんど効かないと思います。

ちょっと当たればはずれてしまう「ヤバい」フードを付けるよりは、撮影時のみキャップをはずすという使い方をすれば気にならない事だと、ここ数回使ってみて感じました。

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コメント

アマにはなかなか手の出ないレンズですが欲しい一本ですね。
これを使うだけでマウントを増やす値打ちがありますね。
いつもナイスな情報有り難うございます。

投稿: monopod | 2013年6月17日 (月) 02時58分

>アマにはなかなか手の出ない
プロの方から厳しい発言(笑)。
確かに非常に高価な特殊レンズですね。しかし10mm程度に相当するイメージサークルをもたせ、これだけ諸収差を抑えたレンズ。一度持ったら手放せないでしょう。
本文にもありますが、このレンズは借り物です。そのうちに資金の目処がついたら購入することになると思います。

投稿: seimas | 2013年6月17日 (月) 10時36分

ニコンも17mm出せばよいのですが。

投稿: むおむお | 2013年9月16日 (月) 06時39分

むおむおさん、はじめまして。

>ニコンも17mm出せばよいのですが。
ニコンをお使いの方にとっては残念なことでしょうね。そのかわりNikonには AF-S Nikkor 14-24mm というすばらしい超広角ズームがあり、これはキャノン使いにとってはうらやましいアイテムです。

投稿: seimas | 2013年9月16日 (月) 23時53分

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