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2014年1月25日 (土)

縦位置シフト撮影 やりすぎにご注意

20140125a

 

建築写真には必需品であるティルト・シフトレンズ、CanonのTS-E、ニコンではPC-Eニッコール。特にTS-Eでは17mmの超広角レンズもあるので、かなりの「寄り」ができることは使っている人は当然ながら、持ってない方でもなんとなく理解はいただけるでしょう。

私が17mmを買ったのは昨年で、それまでは24mmで対応してました。24mmレンズで12mmのシフト(旧型は11mm)があればほぼそれで満足できる(17mmが本当に必要とされるのはインテリア撮影です)のですが、17mmでシフトができるとなるとついオーバーパースをつけてしまうことには注意が必要です。

20140125b 右の写真は11階建て(高さは31mぎりぎりでしょう)のマンションを45度近く振った方向から撮った写真です。あまり良い向きではないですが、前方に寄れる駐車場の位置関係からこんな角度になりました。

TS-E24mmで少々シフトをかけていることは水平線の位置でおわかりでしょう。撮影距離(約37m)は十分にあります。

しかし手前の電線がどうしようもないほど被っていますね。こんなときに便利なのがシフトレンズで、もっと寄ってシフトをかければ、電線が画面に入らなくすることができます。

20140125c そこで前の写真の赤丸ポイントまで前進して、一層シフトをかけたものがこれです。電線が入らなくなりましたが、建物のスカイラインのパースがきつくなって、ちょっと違和感を感じるようになったと思います。

すでに図学上は破たんしているのですが、詳しい説明はのちほどするとして、もう一歩前に出て17mmで撮ってみましょう。

この現場では余裕がありますが、どうしても引きがないときにTS-E17mmレンズを持っているとついやってしまう撮影です。

20140125d 17mmのフルシフトでぎりぎり写せる場所まで前進しました(前の写真の青丸ポイント 撮影距離は約20m)。

どうでしょうか。これ一枚だと気にならないかもしれませんが、上の写真も見せられれば手前の角がそそり立っているのが不自然極まりないはずです。上辺の成す角度が鋭角(90度未満)になってしまっています。

下のような箱状のものをいろいろな角度で見れば、実際の直角が絵や写真の上で鈍角になることはあっても鋭角に見えることはありえないことがおわかりいただけるでしょう。それが超広角レンズでは鋭角に写ることもあるのです。

20140125e

私がデザインを学んだ学校では、写真の授業に加え、建築パースの授業もあったのですが、建築パースは、写真を撮る場合とは逆に、自ら任意に消失点を設定して描くものですから、「手前の上辺の角度が少なくとも90度以下になるように消失点を設定しなさい」と言われたものです。両方の消失点とも紙の中に設定するとかなりきついパースになってしまいます。下の図のように製図板(画板)の左右にかなりの余裕がないと描けない面倒な課題でした。(いまやパースも画面上で行われる時代。こんな苦労はないでしょう)

20140125f

20140125g ほとんどの建築パースが2点透視図で描かれるのは、これにもう一つの消失点(建築の場合は天頂の消失点)を加えた3点透視図にすると作成が大変なこともありますが、それよりも「垂直なものが垂直になっているほうが自然に見える」という大事な要素があるためです。

撮った実例のような細長いビルの場合、ともすると3枚目写真のような「自然に見えない」ものになってしまいます。この場合、垂直は出ているのですが、それに注力するあまり、上辺が大変なことになってしまいました。

竣工写真の場合「迫力があるでしょ」と、こんな写真を提示したら、建築家からは「こんな尖がったビルを設計した覚えはない」と突っ返されるのがオチです。以前に建築パース事務所のサイトかブログで読んだのですが、施主側はオーバー目のパースを好む傾向があり、設計側は自然なパースを好むそうです。

20140125h 17mmもの広角でシフトもできるのでそれに甘んじていると逆に変な写真ができてしまいます。もちろんそこを狙ったアート性の高い写真もありますが「この建築はこういう形状ですよ」と説明のために使うのであればそれは許されません。

それじゃ、今回のような引きがない場合はどうするか?左に移動して正対に近い位置から写すことで違和感を軽減する方法がいいでしょうね。それでも細かい部分(各部屋のエアコン室外機など)では著しい変形がありますが、この辺は目をつぶりましょう。

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