« 2015年6月 | トップページ | 2015年8月 »

2015年7月の1件の記事

2015年7月 5日 (日)

ペンダント(吊下照明器具)の撮影

20150705a

 

先日、大物(というより撮りにくいアイテム)の撮影がありました。

照明器具それもペンダントなので、実際に空間に浮いた状態で撮らなければなりません。背景は業界ではだいたい標準的にグレーのグラデーションで仕上げるようになっています(もちろん、そうでない企業、製品もありますが)。

さて、グレーのグラデーションのバックといえば、だいたいグレー(場合によりホワイト)のバックペーパーを垂らし、照明でトーンをつくるのが普通です。大きなスタジオであれば、被写体からバックペーパー(あるいはホリゾント)までの距離が十分にあるため、グラデーションをつくるのはそんなに苦労はないのですが、ちょっとでも狭いと大変です。

20150705cいつも使う場所では絶対に無理なため、最上階になんとか場所を確保します。

ここは天上高も若干高く、真中にはハイサイドライトのための吹き抜けもあるため、ライトはより高く設置できます。

まず、器具を吊るためのライティングダクト②の位置決めです。撮影距離2.5mを確保したいのでバックペーパー①までの距離は1m強しかとれませんでした。

ライトは70×100cmのソフトボックスを使えば1灯で済み、なるべく水平に近いトップライトとすればバックペーパーには適度なグラデーションができると踏んだのですが、残念なことに撮影品の中に黒ツヤ塗装のシェードがあるので、タイトル写真のようなきれいな写り込みをさせようとするとこの位置のライトは不適切です。

20150705b

本来ならライト前にトレペを垂直に垂らし、きれいな写り込みをさせたいところですが、撮影場所の面積が少なく不可能です。そこでライトを縦使いにして被写体近くにかなり起こした状態にします。

そうするとライトの光は背景に回ってしまいグラデーションができなくなるため、遮光のための板を設置することにしました③。軽くて薄くてもしっかりしているスチレンペーパーの出番です。

20150705d

20150705e 位置の微調整で、この方法でもなんとかきれいなグラデーションが作り出せることがわかりました。ちなみに右写真では、バックペーパーの右1/4ほどが縦に陰になっていますが、これは昼光の影響で、撮影時には発生しません。

また、右の壁面(手前のカーテンの柄はもちろん、被写体より後ろになる場所にある細々したもの)がくっきり写り込んでしまうため、左右ともに黒布を垂らすのも必要となりました。

右手前のレフ板的な白い板は、写り込むカーテンの柄を隠すものですが、この部分を黒布にすると締まりすぎるため、あえて白色です。

④はベルベットクロスで、今説明の一連のカバーリングのために用意しましたが、最終的に後に説明する重要な使い道がありました。

そのように調整して撮ったバックのみの写真です。まるで描いたようなきれいなものとなりました。本来なら製品を入れた完成品をお見せしたいところですが、納品写真を勝手にお見せする訳にはいきませんのであしからず。

20150705f

そして今回の写真では、もうひと手間が必要となります。

照明器具の撮影では、製品そのものが光るため1ショットで撮ると製品の光が飛びすぎます。強力なストロボを焚いて器具の光を弱める方法もありますが、バランスをとるのは非常に難しく、ライティングと製品そのものの色温度のバランスも大変です。

フィルムの時代には、一発で撮るために製品側のライトを調光したり、長時間露光の中の一瞬で点灯させたり、あるいはそれぞれ適切な露光の多重露光といった方法で撮っていました(私は当時は写真を生業にはしていませんでしたが、照明器具を扱う会社にいたので経験はあります)。また、光源も当時はそう多くなく、白熱灯器具であればライティングもタングステンで済みました。

しかし最近の照明器具には様々な色温度のものがあり、今回のものは3000KのLEDが光源です。スタジオライト(今回はLEDを使用)と色温度のバランスを最終的に調整するためには、光らせていない器具写真と、器具の光のみのカットを合成するのが最適だと判断しました。

20150705g_2

ところが、バックペーパーをそのままで、製品を点灯すると、この器具の配光では、かなりの光がバックペーパーに回ります。それ以上に、床で反射した光がバックペーパー上部のほうにまで回るため、上のイメージのような「必要なところ以外は真っ黒」というカットが撮れません。

20150705h

20150705i そこで先ほど④として紹介したベルベットクロスを製品とバックペーパーの間に垂らし、完全な黒バックで「光のみのカット」を撮ることにしました。

ライティングしたカット(製品は消灯)を撮影 → ベルベットを垂らす → ライティングを消して製品を点灯 → 露光時間を変えて撮影

という2カットずつがそれぞれの写真に必要にはなりましたが、後のフォトショップでの合成でいきます。

製品の光源は3000KのLEDなので、ある程度「黄色い光ですよ」とアッピールしなければなりませんが、その度合いが私とクライアントで異なっていたため修正と相成りました。これは想定内だったのですが、こんなことも光のレイヤーのみを別カットで撮っておけば、色調整は非常に簡単です(フォトショップレイヤーでの色調整で済みましたが、難しい場合はRAW現像で色温度を再設定できます)。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2015年6月 | トップページ | 2015年8月 »