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2015年8月の1件の記事

2015年8月30日 (日)

写り込みの調整テクニック

20150830a

前回の記事(とはいっても随分間があいてしまいました m(_ _;)m)にて、「黒ツヤ塗装のペンダントライトの撮影での苦労」をご紹介しましたが、キレイな写り込みにするための部分について追加補足したいと思います。

タイトル写真はその一連のうちのある器具の別アングルカットのアップなのですが、放射状の線は器具そのものが持っっている仕様なので、これを消さないように、なおかつ、モノが黒塗装であるように撮ったものです(白バックでの撮影)。

20150830b 20150830c 器具はお椀を伏せたような半球状の黒ツヤ塗装。メインの写真は前回ご紹介したようにグレーバック紙を垂らした場所で実際に吊り下げて撮影ですから、近辺のものの写り込みが一番激しいタイプです。

繰り返しになりますが、当初のセッティングは、右のような柄のあるカーテンが下がった窓を右とし、バックペーパーやライティングダクトをスタンドで掲げるパターンです。

円筒、球状のものにどのような写り込みが発生するか、一般の方はあまり理解されていないと思います。

それらの側面での写り込みは、「入射角と反射角が等しい」のですから、見えるフチのあたりでの写り込みはほぼ真後ろのもの、手前45度あたりにはブツの真横のものが写って(映って)しまいます。

ブツの真正面にあたるカメラのあたりは通常は暗くできるので問題はありませんが、狭い撮影場ではブツ近辺は照明によって照らされるので、その映り込みはかなりはっきりします。

上の状況写真は昼光の入った状態ですが、暗くして撮影用の照明にすると下のようになります。

20150830d

 

20150830e そこで各種スタンドやポールを隠し、背景紙に直にくっつく様に黒布で側壁面を形成し、それでカーテン、窓枠も覆います。(白い縦のポールが写真では見えますが、左側は黒布が被っているのでブツには映り込みません また白いライティングダクトも照明側-左側はくっきり写り込むのでテープ状にしたベルベットクロスを巻きます)

そして弱めのハイライトを入れるために白板を右に入れます(後ろ上方のものはバックペーパーにグラデーションを作るためのもの)。この写真では下のほうにスタンドが見え、後ろのカーテンも見えてしまっていますが、ブツを吊る高さはこの白板の底辺より上なので問題ありません。

そうやって撮ったのが下のバージョンです。(中ごろに小さいホコリが写っていますが、それを含め若干の修正をしたものが納品版となります)

20150830f

適度に明るいグラデーション(白板の写り込み この場合は積極的な「写し込み」といったほうが良いでしょう)があるためブツの立体感が表現できています。

これ1点であれば、もっとしっかりした表現のため凝った方法も考えられるのですが、一連のシリーズには艶消し塗装のものや違う質感・素材のものがあるため表現がちぐはぐにならないようなこの手法で手を打ちました。

 

さて、ここまでの工夫もできないような状況で、なお写り込みを解消したいということもあるでしょう。

20150830g 艶のある塗装表面やプラスチック製品での写り込み(反射光)は偏光成分でできています。ということはPLフィルターも有効になります(素材をあえて限定したのは金属そのものの表面での反射は偏光しません 詳しくは各自お調べください)。

とはいえPLフィルターでブツ全体の写り込みをすべて除去できる訳ではありません。

反射光の偏光成分は入射角(反射角)によって異なり、おおむね45度あたりで最大になります。(45度はわかりやすい目安です 実際は物質によって異なり、水は53°ガラス58°)

その角度では写り込みが除去できますが、それ以上、それ以下では徐々に効果が薄れます。

今回のような球状のブツの場合、ある特定の場所の写り込みを消す場合にはお手軽ですが、全体的な写り込みの場合はフィルターを回転し、何枚か消えた場所の違うカットを後で合成する必要があります。(下図赤いところが写り込みが消える場所)

20150830h

今回の撮影の最初のセッティング(黒布などを垂らしていない状態)で、器具の右側の写り込みをPLフィルターを使って消してみるとこのようになります。

20150830i

結構効果があることがお分かりいただけると思います。しかしフチ近くの白っぽいグラデーションが消えないかわりに手前が真っ黒になって立体感がなくなりました。この立体感がない点と数枚の合成が必要なため、このPLフィルターによる方法はやめたのですが、場合によっては便利な方法です。

 

20150830j 「写り込みの除去」ではありませんが、くっきり写るものを鈍くしてしまう方法としてダリングスプレー(写真左)を使うことも、スタジオでは盛んに行われます。

細かいパウダーで乳状の塗膜を表面に作り、反射を鈍く(=dull)するものですが、これが結構難しい。私の撮るものの多くでは使うと失敗することが多いためあまり使っておらず写真のものは10年ほど前に買ったものがいまだに1/3ほど残っています(既に廃番)。

しっかり全体にムラなく吹きつけると質感が変わってしまうし、部分吹きつけでは周辺の軽くかかった部位が粒状にムラになってしまい、小さな被写体だとバレてしまいます。

安価で入手しやすい同様の効果があるものとして、写真右のような、いわゆる制汗スプレー(パウダータイプ)が挙げられます。

写真用ダリングも各社で吹きつけた感じが異なりますが、この制汗スプレーはパウダーが細かく結構使えます。

今回は実験写真を撮ってないので、いつか機会があればダリングの効果もお伝えしたいのですが、今回の例ではブツのフチ(キワ)に使うと、写り込んだバックペーパーと側壁面の境界のくっきりした部分を滑らかにすることができます。

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