カテゴリー「レンズアクセサリー」の9件の記事

2015年3月 1日 (日)

クローズアップレンズ比較 -3

20150301a

 

Cyber-shot RX100IIIにつけた各社クローズアップレンズの比較実験を続けます。今回は実際にクローズアップしてみましょう。

前回のおさらい、「カメラの標準の最短撮影距離≒30cm(レンズ先)」の状態にクローズアップレンズ(Kenko AC)をつけたもの
20150301b2
この場合、カメラのフォーカスは無限遠に近いほうに移動していますが、この状態からどんどん被写体に近づいていき、約17cmのところまで寄れるようになります。上で15×10cmだった撮影範囲が10×6.5cmほどになります。

20150301c
水平が若干狂ってきたのはご愛敬として、樽型の歪曲がでてきました。この1から3の位置の各レンズの等倍画像(クリックで拡大した場合)が

20150301d

20150301e

20150301f

前回とおなじように解像感、収差の補正など性能は KenkoAC>Marumi>KnkoMC となっているのがわかります。

 

クローズアップレンズを使う場面を考えると、周辺に大事なものが写っていることはあまりないと思われますので中央の解像感がこの程度保持できるのであれば、どのクラスのレンズを使っても問題ないと思われます。

しかし、平らなもの(書籍表紙、レコードジャケットなど)のコピーなどで使うのであれば、周辺の収差が改善されているACタイプが良いでしょう。

この場合、樽型の歪曲収差があるこのカメラの特性をクローズアップレンズが補正してくれることはうれしいですね。そんなに寄る必要がない場合でも付けてみることをおすすめします。

 

なお、このRX100IIIは以上のような極端に寄った場合には樽型の歪曲収差があるのですが、そこそこ離れた場合には良好であることはこのカメラの名誉にかけてお伝えしておかなければなりません。

以下は屋外のタイル張り(1個5cm角)の壁面を撮ったものですが、撮影距離は2.5mほどになります。

20150301g

センターと右上隅は
20150301h

こんな感じで、さすがに隅はちょっとモヤッとしていますが、コンデジとしてはたいしたものではないでしょうか。

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2015年2月22日 (日)

クローズアップレンズ比較 -2

20150222a

 

Cyber-shot RX100IIIにつけた各社クローズアップレンズの比較実験の続きです。

さて、前回あまりにもセンターと周辺の画質の差がひどかったテレ端の最短撮影距離での撮影。いろいろ実験してみると、センターでフォーカスを合わせる場合と周辺近くでフォーカスを合わせる場合では寄れる距離が違い、周辺の場合には1cmほど引かないとピントが合いません。

像の流れやこのピントの件で考えると大きな像面湾曲があるためと考えられますが、なにしろRAWデータで既に大きな歪曲収差を補正しているコンデジで、本来の「生-RAW」が見られないため、歪曲収差の補正と像面湾曲とがそれぞれどの程度関わっているのかはわかりません。(現像ソフトによっては見られるものもあるようですがそこまではしません あしからず)

前回もご紹介したクローズアップレンズを付けないノーマル時の最短撮影-1の位置でピント合わせ(ISO200 f8 1/30)
20150222b_2

3の位置でピントを合わせたもの(ISO100 f8 1/20)-環境が若干変わっています
20150222c

それぞれの位置を等倍切り出し(拡大時)したもの(クリックで幅1200に拡大します)
20150222d

色身やコントラストが違うのは環境が変わったせいですが、とにかくちょっと引いて周辺でピント合わせを行った方が若干良いようなので、これからの実験はこれで行ったもので見てみます。(ISO100にて絞りとSSをシフト)

まず、このクローズアップレンズを付けない状態との比較をしたいので、この状態にクローズアップレンズをつけ、それ以上寄らないで写してみます。

20150222e ◆KenkoAC f8 1/20 ISO100 以下の実験でもISOは100です

タル型の歪曲収差が補正され周辺まで四角く写りましたが、カメラの本来のフォーカスが無限大近くになったため、インナーフォーカスのズームレンズの特徴で画角がかなり狭くなりました。これでは比較しづらいので若干引き、画面周りに同じ要素が入るようにせざるを得ません。

20150222m そのようにして撮った、ケンコーの PRO1D ACクローズアップレンズ No.3
20150222f

これはf8のものですが、クローズアップレンズをつけるとセンター、周辺で絞り値による差が大きくなるのでf5.6、f11のものも比較します。 それぞれの位置を等倍切り出し(拡大時)したもの(クリックで幅1200に拡大します)
20150222g

センターでは解像ピークのf5.6以上はボケるばかりですが、四隅はf11になるまで解像していきます。

20150222n つぎは同じケンコーの単レンズのMCクローズアップレンズ No.3
20150222h
ACの結果同様にクリックで1200幅に拡大します。
20150222i

アクロマート(1群2枚のレンズ構成で色収差を補正した)タイプであるACに比べ、周囲の色収差があったり、中頃の解像感も若干低いようです。

20150222o マルミの DHGマクロ3 は、
20150222j

20150222k

ケンコーのMC同様単レンズですが、解像感は若干よく、収差も若干押さえられています。

 

右上隅(場所3)部分のみ(f8のもののみ)をクローズアップレンズなしの状態と3つの機種を比較するとこんな感じです(クリック拡大で等倍)。

20150222l

いずれもノーマル時での周辺の歪曲、解像が補正されるのが意外でした。通常外付けレンズではつけた分悪くなっていくのですが、元の悪さを補完したようです。それでも安いレンズでは色収差は出てしまいます。価格が KenkoAC>Marumi>KnkoMC となっており、性能もそれに準じているようです。

次回はクローズアップした距離での画像比較です。

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2015年2月16日 (月)

クローズアップレンズ比較 -1

20150215a

 

前回、MagFilter Threaded Adapter を利用してCyber-shot RX100IIIにクローズアップレンズを付けることを料理撮影で実験しましたが、スタジオでより詳しい検証をしようと思います。特に、前回使ったレンズはアクロマートタイプでしたが、より簡単(1枚レンズ)な軽量・安価なタイプとも比較してみたいと思います。

ケンコーからは前回紹介した  PRO1D ACクローズアップレンズ No.3MCクローズアップレンズ No.3、マルミはDHGマクロ3で、径はすべて52mmです。

20150215b

写真でおわかりのように各タイプ、枠幅が結構異なります。ケンコーMCは6mm、ACが10mm、マルミは8mmあります。質量は19g、41g、19g(52mmの場合)でACが重いのは1群2枚のレンズ構成だからです。

20150215c_2 これら3種の性能比較をしようと思うのですが、収差を見るにはチャートが一番。

私の場合、クローズアップレンズはRX100IIIのテレ端(換算70mm)で使うことが前提となり、撮影距離も近い(付けないノーマル時に30cm)ため、5mmグリッドを書いたA4サイズ程度のものを使用します。

十分に均一に照らされたチャートを、カメラのシングルAFで合焦の合図が出るかでないかのギリギリのところを行き来させ最短撮影距離で写すことにします。
(右写真ではAFエリアがフレキシブルスポットのものが写っていますが、実際はAFエリア「中央」にて行っています)

 

まずはクローズアップレンズを付けないノーマル時(撮影距離はレンズ先29.3cmでした)で絞りを変えて撮ってみます(感度はすべてISO200で統一)。4カットを合わせた画像です。なおチャート中の数字はセンターからの寸法(cm)です。だいたい17×11cmが写っています。
(クリックで1200×800ピクセルに拡大します)
20150215d_2

望遠側にも関わらずタル型の歪曲収差があります。JPEGの撮って出しなので補正が掛かっているはずですが目立つ収差です。

個々の等倍で詳しくみていただくと、センター(上の画像青色部)はまあそれなりに解像しています。f8では解像のピークを超え眠い絵になっています。

20150215d3

ところが周辺はかなり流れています。四隅どころかセンターと4隅の中間あたりですでに眠くなっています。

20150215e

この傾向はワイド端でのノーマルの接写時(撮影距離はレンズ先4.5cmでした)にもあるのですが、四隅こそ流れるものの中間地点でのぼやけ方は若干低く感じます。
(上でf8では解像のピークを過ぎているといいながら絞りf8のものをお見せします 全体像はクリックで拡大します)
20150215f
20150215g

 

もとのチャートの出来を理解していただく上で、EOS5DIII+TS-E90でクローズアップレンズを付けずに最接近で撮った写真も比較用で掲載します。(全体像はクリックで拡大します)

20150215h

20150215i

こちらもf8なのですが、さすがにしっかりと写ります。また、ホワイトバランスの違いもよくわかります。

元がこんな状況なのでクローズアップ間の差異がどのくらいでるのか、その実験は次回に。

 

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2015年2月 7日 (土)

RX100IIIにクローズアップレンズをつける

20150207a

 

前回はMAG FILTERを利用してPLフィルターをつけましたが、今回はクローズアップレンズのおはなし。

RX100IIIはテレ端(70mm相当)でもレンズ先30cmまで寄れる、コンデジとしては「寄れるカメラ」なのですが、それでもマクロレンズをつけた一眼のようには寄れません。

最短撮影距離でテーブルに供された料理をディッシュ全体で撮ることはできても料理のパーツのアップまではできません。
20150207b

かといってかなり寄れる(レンズ先5cm)ワイド端では、換算24mmのため「形をしっかり伝える写真」にはなりません。
20150207c

RX100IIIには、画面のクロップで画角を最大1/2まで小さく(ズームとしては最大2倍)する「スマートズーム」、ソニー独自の「全画素超解像技術」で、写真を構成しているすべての画素を解析し、解像感を保ったまま拡大する「全画素超解像ズーム」(最大2倍)が搭載されているので、それを使う手もあります。

70mm ノーマル最短撮影距離
20150207d

70mm 最短撮影距離でスマートズーム x2.0
20150207e

20150207f しかし、「スマートズーム」「全画素超解像ズーム」では、撮影者が任意の位置にフォーカスエリアを置く「フレキシブルスポット」モードでも、光学ズームを超える領域に入るとスポットが解除され、画面全体を使ってピントを合わせるモードになります。合焦は大きな四角枠が緑色で表示されるのですが、どこにピントを合わせているかわかりません。

またスマートズームとは、要はクロップですから画像は小さいものとなります。5472×3648ピクセルあるものが2736×1842になってしまうわけです(スマートズームを効かせるためには画像サイズモードをSにする、すなわち大写しにしないものも小さいサイズで撮るという状態にしておく必要があります)

これらから、ズームを使う方法もいまひとつと感じます。

 

そこでクローズアップレンズの登場です。世のクローズアップレンズには何種類かありますが、アクロマート(1群2枚のレンズ構成で色収差を補正した)タイプの ケンコー PRO1D ACクローズアップレンズ No.3 を用意しました。当然フィルター径は52mmです。(52mmでもパッケージは10cm角もあってちょっとびっくりします)

20150207g

20150207h 2枚の合わせレンズのため分厚く、枠は10mmもありますが、カメラへの収まりはとても良い感じです。

かなり重たい(41g)ため、マグフィルターと合わせると60gにもなり、すぐはずれるんではないかと心配しますが、クローズアップのためだけにつけるので「使い終わったらすぐはずす」を心掛ければ通常の撮影ではまず問題ありません。

ちなみに前回とりつけたPLフィルターでは合計質量は36gです。

3番のクローズアップレンズはカメラのフォーカスを無限遠にしたときに撮影距離(レンズ先)が33cmになる設計ですから、このカメラでは付けない状態での最短撮影距離30cmとちょうど重なりシームレスに使えます。

クローズアップレンズをつけて一番寄った(レンズ先16cm)写真では上のケーキも肉もここまで大きく(2倍弱)なります。
20150207i
20150207j

これなら料理のディテール撮りもOKですね。ちなみに最短撮影距離が短くなるため、ファインダーでの撮影ではグッと乗りだす姿勢になります。

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2015年1月25日 (日)

RX100IIIにフィルターをつける

20150125a

 

お散歩カメラとして素晴らしいCyber-shot RX100III(DSC-RX100M3)。使い勝手で若干の不満はテレ側が若干欲しいことや、テレ端でもうちょっと寄りたいことなどありますが、何と言っても困るのはフィルターが使えない点です。

特に風景では、PLフィルターを使うことで、澄んだ空の表現や反射光の削減など、表現の調整が可能ですから、気軽に持ち出せるコンデジでも使用したいところです。下の写真ではPLフィルターを使うことで、照り返しの強い光を弱めた結果、影の場所の表情が出ました。

20150125b◆フィルターなし

20150125c◆PLフィルター使用

20150125d レンズキャップが嫌われ、自動開閉式のレンズバリアー式となっているコンデジでは、一般的にはフィルターを付けることを考えていません。

このRX100IIIでも、余計な出っ張りや無駄な引っ込みを付けないというデザインコンセプトですから、フィルターネジが刻まれていません。

そこで、フィルターを付けたい場合は、サードパーティーから出ている「レンズ鏡筒前面に貼りつけるフィルターアダプター」を付けることになります。

しかし、せっかくキレイなレンズまわりに無粋なものは付けたくないので、様々検討した結果MAG FILTER の MagFilter Threaded Adapter が一番よさそうなので購入しました。

MAG FILTER(販売ブランドはCARRYSPEED)には、PLフィルターそのものもラインナップされています が、既に持っている52mmのCPLフィルターを使えば良い(また、他のフィルターも使える)のでアダプターのほうにしました。

商品は以下のものがセットされています。

20150125e

中央下がスレッデッドアダプター本体とカメラに両面テープで貼り付ける「メタルリング」、ビニル袋に入ったものはメタルリングの予備です。このアダプターは「マグフィルター」の商品名が示すようにマグネットになっていて、カメラに貼ったメタルリングに「磁力でくっつくフィルターアダプター」という訳です。アダプターリング前方には普通のフィルターが付けられる52mmのメスネジが切られています(外径は54mm)。

20150125f

メタルリングは内径32mm、外形37mm、厚みは0.7mm(両面テープ含む)。レンズ枠の刻印が見えなくなってしまいますが、違和感をほとんど感じない装着仕上がりです。

20150125g

20150125h 52mmのフィルター(外径はほぼ54mm)を付けるとカメラのコントールリングの径も約55mmのため一体感がある仕上がりになります。

この製品の良い所は、PLフィルターのように付けたりはずしたりするフィルターの場合に、ワンタッチで付け外しができる点です。

逆に、磁力のみで付いているのでちょっと大きな力が加われば簡単にはずれてしまうため常時付けっぱなしにしておくわけにはいきません。

20150125i そこで付属のフック付ケースの出番となります。

2mm厚のウェットスーツ素材でできているのでクッション性があり、ポケットは余裕があるので、アダプターリングにフィルターを付けた状態で収納し、使う時にレンズ先にカチッと取り付ける使い方が便利です。

フィルターと一体で用意しておくほうが使い勝手がよいので、PLフィルター以外にクローズアップレンズ用にもう一つ買って、ふたつ持ち歩くと、このカメラの撮影の幅はおおいに広がるでしょう。

テレ端で30cmまで寄れるカメラですが、「もう一歩寄って写したい」というとき用にクローズアップレンズがおすすめです。

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2013年2月23日 (土)

最近気になっている製品2点

20130222a

 

「気になる」といっても、このTS-Eレンズそのものではなく、TS-Eレンズに関わるアダプター関係です。いずれもまだ買ってませんし、特に「買わなければならないもの」ではないので、購入後にこのブログで使用談を取り上げることもないでしょう(笑)。

20130222b 1点目は proPsolution のTSE Adapterという製品です。

要はTS-Eレンズ用の三脚座ですが、これを付けることで通常の三脚取付方法(カメラを固定する)で発生する「シフトで起こる視差をなくす」ものです。

「TS-Eレンズ ティルト・シフト応用編 -2」の回でご紹介したシフト画像をスティッチする方法。厳密にはレンズ主面でシフトしないときれいなスティッチは得られません。理由は「X100用簡易パノラマ雲台」の回 のパノラマ撮影時の視差と同じような原理で、カメラを三脚に固定しレンズを移動する方法では、近景と遠景に視差によるズレが出ます。

(間違いではないが誤解を招く表現なので訂正します。 シフトでは回転するわけではないので「レンズ主面でシフト」ではなく「レンズを固定し、カメラをシフト」と言ったほうが正確です 2013.05.26)

TS-Eレンズのうち、17mm、24mmは鏡胴のパーツが共通で、ちょうどシフトノブのある場所に平らな面があるので、そこを挟むタイプの三脚座です(この製品の上の切り欠きや中程の欠いた部分がシフトノブをよけるためのものだとおわかりでしょう)。

日本では株式会社テイクが扱うようで、オンラインショップで購入可能です。私は特にはTS-Eを使ったスティッチ作業はしないのですが、以前からこんな三脚座ができないかと思っていたので非常に気になります。

 

20130222c 2点目は Metabones のSpeed Booster。こちらは様々なところで取り上げられていますのでもう既にご存じでしょうが、EFレンズやライカレンズをSONY EマウントやFUJI Xマウントに変換するマウントアダプターで、フルサイズ時の画角で写すことができ、f値も小さく(明るく)なるというものです。

一般的には、開放のボケや、明るくなってより速いシャッターが切れる面(だからSpeed Boosterですが)が注目されていますが、私はTS-Eレンズが本来の画角でNEXでも使える点に注目しています。AF、ISにも対応するので EF-Eマウントは75,000円もします がTS-Eレンズではどちらの機能も関係ないですね(笑)。

ティルト・シフトレンズのしっかりしたものはキャノン・ニコンにしかありません(しかも17mmの焦点距離はキャノンのみ)ので、NEXでシフトやティルトを楽しむにはマウントアダプターが必要ですが、NEXはAPS-Cフォーマットなので、マウント変換だけではせっかくの17mmレンズも換算25mm程度のそれほど広くない広角レンズにしかなりません。

仕事では万が一のことを考えて予備カメラの携行を標準としている方は多いのですが、予備がフルサイズでないと使用レンズもそれ用の予備が必要となってしまい荷物がかさみます。私はケースによりますがあまり予備を持っていきません(危険だなぁ)。

コンパクトなNEXで(あるいはEOS-Mで)フルサイズと同様にサブで携行できたらいいなとかねてから思っていました。特にTS-E17mmを使うような場合は、それに相当するレンズがないので、こんなマウントアダプターは便利なのではないでしょうか。EOS-M版が出たら面白いですね。

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2012年10月 7日 (日)

TS-E90mm F2.8でマクロ撮影 -3

20121006a

前回、「エクステンションチューブをつけることのメリットがいまいちピンとこない」とのコメントをいただきました。確かにマクロレンズのほうが(まさにそのために作ってあるので)、何倍も使い勝手がよいのは確かです。

また、上の写真のようにとんでもなく全長が伸びるのも困ったものです。写真はエクステンションチューブEF25を2個、EF12を1個つなげたものですが、これでやっと等倍撮影。全長180mmにもなり、同じ等倍撮影ができるEF100マクロの1.5倍も長い「玉」になってしまいます。

しかし、シフトやティルトの機能が引き続き利用できることがTS-Eレンズの大きなメリットです。

 

【シフト】

20121006b1 このTS-E90mmは11mmのシフトが可能になっています。ただ今まで詳しい説明を省いていましたが、これは「無限遠時」のシフト量です。実は最近接時(0.5m時)には見かけ上、もっと大きなシフトが得られます。下のように画面の半分以上(横位置時)のシフトが得られるのです。

20121006b2

これが、エクステンションチューブを使用すると、もっと大きな移動量(あくまでも画面上での移動量)が得られます。次の写真は、上と同じものを、EF25×2+EF12で撮ったものです。

20121006b3

 

【ティルト】

ティルトでパンフォーカスを得るのは、「撮影距離」「レンズ主面と撮像面の距離」「見下げ角度」で決まり、撮影距離が近い・レンズ-像面距離が遠い・角度が浅い ほど不利(TS-Eレンズでは追い切れない)であることを 「パンフォーカスを得るティルト角の計算」 でご紹介しました。

さて、エクステンションチューブを使用すると、撮影距離、レンズ-像面距離とも不利になります。完全なパンフォーカスを得るのはチューブを繋ぐほど難しくなります。以下、かなりの見下げ(見下げ角60度)で実験した3状態(EF25で2距離、EF25×2+EF12で最近接)です。(各々クリックで拡大します)

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20121006d

20121006e

EF25の最遠距離時はチューブを付けない最近接時とほぼ同じ状態ですので、ほぼ計算(一覧表)通り、ティルト7度でパンフォーカスが得られています。しかしそれ以上の延長時および近接時では(かなり真俯瞰に近い印象の)60度でもパンフォーカスは得られません。浅い角度での撮影ではもっと条件が悪くなりますが、それでも絞り何段か分の被写界深度が得られることは確かです。

20121006f 右の写真はTS-Eレンズを持たない頃、kissDNにEF-S60mmマクロでf/32まで絞り込んで撮ったマイクロチップです(チップ表面には型番等のプリントがありますが都合により消してあります)が、奥の稜線にはしっかりしたピントがきていません。

その時は印刷時に切手ぐらいの大きさだったのでクライアントも問題ないと判断しましたが、これが「抜き」でもっと大きな扱いだったらちょっと使えません。

その時、「今度こんな仕事が来たらヤバイな」と思いフルサイズ、TS-Eに移行したのですが(理由はそれだけじゃないですよ 笑)、結局それ以来、このような小さなものでパンフォーカスを必要とする撮影は来ていないのですが。

 

【チューブ使用時の注意】

AE撮影時は関係ないのですが、露出をマニュアルで行うときは露出補正が必要となります。チューブをつけて像面を遠ざけるので、遠くになれば光が弱まる理屈での現象であることははおわかりいただけるでしょう。以下に私の実測値を記します(計算上・理論上ではないので正確かどうかはわかりません)。

使用
チューブ
EF12 EF25 EF25
+EF12
EF25
+EF25
EF25
+EF25
+EF12
延長 12mm 25mm 37mm 50mm 62mm
補正 +0.7段 +1段 +1.3段 +1.7段 +2.3段

 

通常の撮影では、画角(被写体をどうフレームにおさめるか)と撮影距離の関係はそう難しくはありませんが、チューブを付けた近接撮影では、チューブ長さが長くなるほどピントの合う範囲(ピントリングで調節できる距離)が極端に短くなるため、そもそも被写界深度も極端に薄いことと相まってピント合わせが困難になります。

20121006g そこで使用したいのがスライドレールです。私はベルボンのスーパーマグスライダー を使っているのですが、最近ベルボンからその姉妹機で左右のスライドを省いた スーパーマグスライダー(前後のみ) というものも出ています。

ただ、アルカスイス互換のL字ブラケットを使用して縦位置で撮るとき(上のティルト実験)などこのスライダーの上にクランプを付けてカメラを縦位置にするとかなり「ヘニャヘニャ」した感じになります。ミラーアップでレリーズ使用ならば問題ありませんが、シャッターボタン使用だと「ブレるかも」といった印象です。

もしアルカスイスタイプのクランプ、プレートをお使いなら、そのシステムのレールのほうがよいでしょう。KIRKからは マクロ撮影用フォーカシング・レール や簡易的な マクロ撮影用Newロングレールプレート が出ています。

マニュアルフォーカスでただでさえ扱いが面倒なTS-Eレンズですので、「マクロ目的」で購入される方はいないとは思いますが、すでにお持ちの方はちょっとの出費で応用範囲が広がることは確かです。

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2012年9月29日 (土)

TS-E90mm F2.8でマクロ撮影 -2

20120930a

さて、エクステンションチューブによる接写をする場合にどれだけ被写体が拡大されるかは、キヤノンであれば「レンズカタログ」にデータが載っています。

20120930b
■写真は2010年版「EFレンズ/EOSアクセサリー カタログ」

これを見ればおわかりのように、TS-E90mmにEF12をつけた場合、距離指標を「∞」にしたときに0.14倍、「0.5m」にしたときには0.43倍となり、標準の場合(0.29倍)の1.5倍程度までの拡大画像が得られることがわかります。なので「それを参考にしてください」って言って終わりにすることもできるのですが(笑)、

実はエクステンションチューブは単体で取り付けるだけでなく、2枚、3枚と複数連結して使うことも一向に問題のない(もちろんレンズによりつかないものもあります-物理的につかないのではなく結像しない)もので、そのデータは記入がありません。特にTS-E90mmでは、かなりの枚数の連結が可能です。

私が持っているのはEF12、EF25各1個(枚)なのですが、友人からEF25を借りることができたので、EF12、EF25、12+25、25+25、25+25+12といった組み合わせでどれだけ拡大できるか実験しました。

また、撮影時には撮影距離も大事ですが、レンズ先と被写体の間の距離=「ワーキングディスタンス」も重要になる(ライティングができるかどうか、スタジオ撮影では重要ですね)のでそれも計測しました。

ちなみに被写体は定規を撮るのもつまらないので、MacBook13inchのキーボードにしました。キーサイズがおよそ16mm角なので雰囲気がつかめると思います。

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前回、「エクステンダーを使う方法もある」と書き、「樽型の歪曲収差が大きくブツ撮りには不向き」とお伝えしましたが、こんな感じです(エクステンションチューブとエクステンダーを組み合わせることも可能です)。

20120930i

20120930j

このようにEF25が2個とEF12があれば(またはEF12、EF25、EF1.4×があれば)、等倍マクロが可能です。

等倍は実現できないものの、EF25が1本あれば、0.6倍まではシームレスにマクロ撮影ができます(0.3倍まではノーマル、0.3~0.6倍まではEF25を付ける)。一般的にはこれだけで十分でしょうが、等倍がどうしても必要なときは3本が必要となります。しかし純正品はちょっと高価で、それを3つ買うとなると躊躇するかもしれません。

20120930k そこで、当然サードパーティーからも出ている訳ですが、通常勧められるのは ケンコー・トキナーの「デジタル接写リングセット キヤノン EOS EF/EF-S」 でしょう。

12mm,20mm,36mmの3つのリングがセットになっている製品で、純正品より組み合わせのパターン(延長距離のパターン)が増えます。

これら3本をつなげると全長は68mmになり、上のEF25を2本にEF12を組み合わせたもの(EF12は12mm、EF25は25mmのチューブです)より若干長くなるのでその分拡大でき、また、36mm1本でEF12+EF25とほぼ同じ使い方ができます。

純正品を上の組み合わせで3本揃えるよりずっとお得で、融通がつきやすい。もちろん光学性能は劣らない(素通しの筒ですから)、電気接点も特に問題ないと思われる(特にTS-EではAFがなく絞り用の通電だけです)ので、とてもいいのではないでしょうか。

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2012年9月23日 (日)

TS-E90mm F2.8でマクロ撮影 -1

20120923a

キヤノンTS-E90mm F2.8 はティルト・シフトができることはもちろん、焦点距離の程良さ、歪みや収差の少なさで、私がブツ撮りをする場合、ほとんどこれ1本で済ませています。

このTS-E90mmは最短撮影距離が0.5mであり最大撮影倍率が0.29倍となるので、1倍であるマクロレンズには及びませんが、かなり拡大できることも「これ1本で済む」ことの理由です。

ただ、2cm位の大きさのもの(例 指輪)を単品で写すとなると、この撮影倍率では足りなくなります。

ここで「撮影倍率」のおさらいです。(こちらに来られる方は大体理解されているでしょうから、余計なお世話でしょうが一応おさらいしましょう)

20120923b

「撮影倍率」は「被写体が撮像素子に写るサイズが実物の何倍であるか」の表現です。メーカーによっては(例えばレンズメーカーのシグマでは)その逆数で表示することもあります。「最大倍率 1:5」はキヤノンでは「最大撮影倍率 0.2」となります。

フルサイズであれば約36mm×24mmのものが画面いっぱいに撮れるのが「撮影倍率 1」。同じ「撮影倍率 1」のレンズをAPS-C(キヤノン)に付けて撮るなら、約22mm×15mmのものが画面いっぱいになります。(カメラメーカーにより、この撮影倍率も「フルサイズ換算」と枕詞をつけるところがあるのですが、私はそれには賛同しません)

キヤノンなどでは「マクロレンズ」は「撮影倍率 1」で作ってますので、2cm位のものをフルサイズで画面いっぱいに撮りたいとなるとマクロレンズが適切となります。

しかし、マクロレンズを使わずとも、既存のレンズにアクセサリーを付けることで大きく撮る(撮影倍率を上げる)方法がいくつかあります。

  1. クローズアップレンズを付ける
  2. エクステンションチューブを付ける
  3. エクステンダーを付ける

クローズアップレンズはフィルター同様、レンズ前面に付けるものなので、付け外しが楽です。しかし余分なレンズを付け加えるので、主レンズの光学特性(収差や解像感)を若干損なうことになります。また複数のレンズで使おうとすると、フィルター径毎に用意しなければなりません。

エクステンションチューブは3の「エクステンダー」と似た呼称なので区別がついていない方もよく見かけますが、「中間リング」とか「接写リング」とも呼ばれる、「レンズ本来の最短撮影距離をさらに短くする」ものです。

レンズとカメラの間につけることから、フィルター径に関係なくどのレンズにも使える一方、付けるには「一度主レンズをはずして、チューブをマウントに付け、再びレンズをチューブに取り付ける」という手間がかかり、「無限遠にはピントが合わなくなる」ため接写でないときは再び逆の手順で戻す必要があります。

しかし、ただの素通しの筒なので、主レンズの光学特性を損なわない(厳密に言えば、設計上の外で結像させるので、劣化がないというわけではない)というのが大きなメリットです。

エクステンダーは、通常は望遠レンズに付け望遠効果を増すためのもので、付かないレンズも多いのですが、TS-Eレンズには問題なく付けられます。このエクステンダーは「焦点距離を長くする」と一般的に説明されますが、要は「像を拡大する」原理なので、等距離からの撮影で拡大像が得られます。また無限遠もそのままですから、付けっぱなしで「引き」も「寄り」も撮れるメリットがあります。一方、数枚のレンズを組み合わせた光学系ですので、どうしても収差や解像感は劣化します。特に近接撮影時は樽型の歪曲が出ますので、ブツ撮りには不向きです。

(上記3つに加え、リバースリング(リバースアダプタ)を使ってレンズを逆付けする接写方法もあるのですが、絞りが解放でしか写せないのと、90mmの焦点距離のレンズでは効果がないので割愛します)

 

そこで私はもっぱら、2のエクステンションチューブを使う方法で撮影しています。

20120923c
■左から エクステンションチューブEF25、同EF12、エクステンダーEF1.4x II

私が持っているのは、キヤノン純正のエクステンションチューブ
Extension TubeEF12
Extension TubeEF25
で、それぞれ12mm、25mmの延長ができるものです。

これらは現在、新型の エクステンションチューブEF12II および エクステンションチューブEF25II となってEF-Sレンズにも対応していますが、私の持つ旧タイプは古い設計で内径の都合上、EF-Sレンズには使えません。

また、エクステンダーのほうは1.4倍のエクステンダーEF1.4x IIを持っていますが、こちらの現行品も、光学特性が高められた エクステンダーEF1.4x III になっています。

つづく

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