カテゴリー「TS-Eレンズ」の30件の記事

2017年9月17日 (日)

新TS-Eレンズ パンフォーカスを得るティルト角

20170917a

 

TS-Eレンズは、ティルトによるピント面の調整で、撮像面と平行ではない面をパンフォーカスにすることができますが、角度の設定は計算式で求められ、過去に「パンフォーカスを得るティルト角の計算」の回にまとめました。今回のリニューアルで、同焦点距離でも最短撮影距離や最大ティルト角が変わったので新レンズ分を追加で作ってみました。

まずは、その計算式の説明図をもう一度ご覧ください。

20170917b

この計算式に基づいた一覧表が以下のものです。撮影角度は前回と同じく見下げ角が30°、45°、60°の3パターンです。表の赤バックの部分はTS-Eレンズでは追い切れない角度です。 

<注意事項>
レンズ主面と撮像面の距離は撮影距離が無限大のときレンズの焦点距離と同じですが、被写体が近いほどピントを合わせるためにレンズが繰り出されます。計算しやすいように繰り出し量を一様にしているため、実際は近距離では角度が大きく、遠距離では小さくなります。また、ティルト回転が主点で行われるという前提に立ったものですので、そもそも主点がティルト回転の中心にはない当レンズでは厳密な計算はできません。あくまで目安とお考えください。

 

135mm ティルト角±10° 繰り出し量を15mmとしてAを150で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.50 9.8
0.60 8.2
0.70 7.1
0.80 6.2
0.90 5.5
1.00 4.9
1.20 4.1
1.50 3.3
2.00 2.5
3.00 1.7
4.00 1.2
5.00 1.0
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.50 16.7
0.60 14.0
0.70 12.1
0.80 10.6
0.90 9.5
1.00 8.5
1.20 7.1
1.50 5.7
2.00 4.3
3.00 2.9
4.00 2.1
5.00 1.7
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.50 27.5
0.60 23.4
0.70 20.4
0.80 18.0
0.90 16.1
1.00 14.6
1.20 12.2
1.50 9.8
2.00 7.4
3.00 4.9
4.00 3.7
5.00 3.0

90mm ティルト角±10° 繰り出し量を10mmとしてAを100で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.40 8.2
0.50 6.6
0.60 5.5
0.70 4.7
0.80 4.1
0.90 3.7
1.00 3.3
1.20 2.8
1.50 2.2
2.00 1.7
3.00 1.1
4.00 0.8
5.00 0.7
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.40 14.0
0.50 11.3
0.60 9.5
0.70 8.1
0.80 7.1
0.90 6.3
1.00 5.7
1.20 4.8
1.50 3.8
2.00 2.9
3.00 1.9
4.00 1.4
5.00 1.1
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.40 23.4
0.50 19.1
0.60 16.1
0.70 13.9
0.80 12.2
0.90 10.9
1.00 9.8
1.20 8.2
1.50 6.6
2.00 4.9
3.00 3.3
4.00 2.5
5.00 2.0

50mm ティルト角±8.5° 繰り出し量を5mmとしてAを55で計算

見下げ60°(b=30°)
距離 m ティルト角 °
0.30 6.0
0.40 4.5
0.50 3.6
0.60 3.0
0.70 2.6
0.80 2.3
0.90 2.0
1.00 1.8
1.20 1.5
1.50 1.2
2.00 0.9
3.00 0.6
4.00 0.5
5.00 0.4
見下げ45°(b=45°)
距離 m ティルト角 °
0.30 10.4
0.40 7.8
0.50 6.3
0.60 5.2
0.70 4.5
0.80 3.9
0.90 3.5
1.00 3.1
1.20 2.6
1.50 2.1
2.00 1.6
3.00 1.1
4.00 0.8
5.00 0.6
見下げ30°(b=60°)
距離 m ティルト角 °
0.30 17.6
0.40 13.4
0.50 10.8
0.60 9.0
0.70 7.7
0.80 6.8
0.90 6.0
1.00 5.4
1.20 4.5
1.50 3.6
2.00 2.7
3.00 1.8
4.00 1.4
5.00 1.1

 


今回の追加およびリニューアルに際し、キヤノンはTS-Eレンズにかなりの力を入れています。今まではサイトでの紹介はそれほど丁寧ではありませんでしたが、今回はスペシャルサイトもオープンしました。 ⇒ TS-Eレンズスペシャルサイト

そこにも埋め込まれていますが、TS機能をふんだんに使ったイメージ動画が気に入ったのでご紹介しておきます。

動画「TS-E×SUSHI」
20170917f2

このムービーで特に気に入っているのが、40秒あたりの手前と奥にふたりずつ座った登場人物にそれぞれ対角にピントを合わせる演出。ムービーだと遷移も演出になるので面白いですね。

20170917f

その他にも参考になる演出が豊富です。一度はご覧ください。

またこのムービーのメイキングムービーもあります。これらの演出はレンズをどう使っているのかの理解に便利です。⇒「TS-Eレンズ×SUSHI メイキング動画」

(まだそれほど再生数が行っていない。 特殊なTS-Eレンズへの世間の興味はそんなものか…)


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2017年8月29日 (火)

TS-Eレンズ 新製品発表

20170829a

 

写真はTS-E90mmですが、TS-E45mmとともにキャノンの現行レンズでもっとも古いもののひとつになってしまっていました(1991年4月発売)。TS-E24mmは8年前に新焦点距離のTS-E17mmの発売とともにリニューアルされていますが、45mm、90mmは「非常に古い」設計のままほったらかしにされていた感があります。

ここ何年か「いよいよ出る」という噂が何度も浮上しましたが、やっと本日発表されました

20170829b_2


デザインがすべて24mm、17mmで採用されたスタイルに統一され、新たに、より長焦点の135mmが加わり、17mmの超広角から135mm望遠までの5本体制になります。

同じティルト・シフトレンズ群は、ニコンにおいてはPCニッコールとして4本(19,24,45,85mm)がラインナップされていますが、キヤノンの負けず嫌いで、望遠にもう1本追加したというところでしょう。

45mm、90mmは「非常に古い」設計のため、リニューアルに当たってニコンに劣っている面も当然解決してきています。ニコンに抜かされたマクロ域対応が新規の135mmも含め3本ともに図られました(撮影倍率0.5倍 現行品は90mmが0.29倍、45mmが0.16倍)。PCニッコールではすでに45mm、90mmで0.5倍になっており「PC-E Micro NIKKOR」との名を冠していました。

さすがに等倍マクロまでの対応は難しい(全群を移動することになるこのレンズの仕組みでは鏡筒をとてつもなく伸ばす必要がでてくる)でしょうが、0.5倍まで対応してくれるとブツ撮りでは非常にありがたいです。

ティルトおよびシフトの範囲も拡大されました。最大ティルト角は8°から10°に(50mmは8.5°)、最大シフト量も11mmから12mmに(50mm、90mmともに)。またギンギンのパンフォーカスを得たい場合にありがたい、最大絞りが32から45になりました(もっとも小絞りボケは発生するでしょうが)。

また、当然のことながらレンズの見直し、コーティングの見直しで、デジタルに適切な光学性能に引き上げられたようです。90mmでは現行品の5群6枚から9群11枚(UDレンズ1枚)になり、すべてのラインナップがLレンズとなります。

現行の90mmを使っていて気になるのは、逆光に弱い点です。レンズフレア(ハレーション -この語は本来は誤用)がありますので、ハレ切りが重要なシーンが結構あります。

黒バックでローキーでブツ撮りのとき、画角の外ギリギリに光源がある場合には全体に白っぽくなります。そんな場合にはシビアなハレ切りをすることもありますが、日常の撮影でもフードをつけています。標準のフードでは使い心地が良くないので角型フードを使っていました。

20170829c
フィルター径58mm対応の一般用で、JJC製のLH-DV58Bという製品ですが、既に廃番となっています。

ところが今回のリニューアルで90mmはフィルター径が77mmになります。レンズ径だけでなく、上のラインナップ写真で分かる通り、全体のボリュームはかなり増えます。従って質量も現行の595gから915gと1.5倍強になります。

レンズ枚数が増え、便利なTSレボリビングやティルトロック機構が追加されたので当然なのですが、現行品あたりの重さが使いやすいのですがね。

また価格も非常に高価になりました。希望小売価格が税別で315,000円。値引きがあっても現行品の2倍にはなるようです。

現在使っている現行のTS-E90mmからリプレースするつもりは大いにあるのですが、価格で躊躇してしまいます。ましてや手放した45mm(新製品では50mm)や、魅力のある135mmまで手を出すのはちょっと…。

いずれにせよ12月下旬の発売との発表ですので、まだまだ先の判断となります。

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2014年7月17日 (木)

逆ティルト撮影(ジオラマ風ではない演出)

20140717a

 

「真のジオラマ風」にするには、逆ティルトのみでは雰囲気が得られにくいことを前回ご紹介しましたが、今回は、「ジオラマ風にするためではない大ボカシの使い方」の作例などを。(上も含めすべて 5DMarkII+TS-E90mm)

タイトル写真は左右方向にボカシを入れたのですが、この階段の手すりに手をかけながらモデルが歩いているなんてカットなら目的がはっきり分かることと思います。

20140717b

これはジオラマ風に近いですね。スケールアウトした鉄製の椅子の華奢な感じが強調されると思います。

20140717c

ジオラマ感(ミニチュア感)を演出するには見下ろして撮るほうがそれらしくなりますが、水平に近いアングルでも、不思議な奥行き感が得られる被写体があります。

20140717d

これは完全に、看板を強調するために使用した例です。

高い場所にあるペデストリアンデッキを表現し、下に写り込む樹木は通常のピントではくっきり写ってうるさいのでぼかしました。それでも色が濃くうるさいので下の方を明るくしてしまえば完璧になるでしょう。

20140717e

「強い日差しの下、車が木陰で休んでいる」というようなイメージです。主体である車のフロントグラスにピントに合わせ、複雑で数の多い葉をぼかすことで、日差しの強さもでていると思います。

20140717f

明るいレンズなら開放で撮れば背景は十分にボケるアングルですが、左右のボカシをより多くしてみました。通常ならピントがきてしまう水流部分も十分にボケています。

もちろん構図によるのですが、ボカシ効果は長辺方向のほうが大きいので、縦位置写真が多くなる傾向が私にはあります。

大ボカシを積極的に取り入れた面白い作品づくりを考えていただける参考として取り上げてみました。

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2014年7月 6日 (日)

ジオラマ風(ミニチュア風)写真

銀座線ジオラマ

 

TS-Eレンズに関する記事で何度か取り上げたジオラマ風(ミニチュア風)写真。当ブログでも ギャラリー を設けていますが、「TS-Eレンズのみでどれだけ表現できるか」に主眼を置き、特に他の加工を施していないものを載せています。

タイトル写真は、現在は解体作業に入っている渋谷の東急東横店から出てくる東京メトロ渋谷線を撮った2年ほど前の写真ですが、ティルトを使っていません。逆ティルト撮影でとったものがこちらですが、

20140706b

20140706c かなりジオラマ風に見えるとはいえ、違和感があると思います。このような立体構成を撮るといろいろな箇所が破たんしています。

ピントを合わせたい先頭車両からすればずっと奥にある場所にピントがあっていたり(1a,1b)、撮影場所からほぼ等距離なのに(それどころか上ほど近くなるはずなのに)上にいくほどボケていたり(2)、もう少しピンがきていてもいいところがボケ過ぎていたり(3a,3b)と、被写界深度が浅い場合に発生するボケとは違うところがたくさんあります。

下の図のように、ピント面、被写界深度の成り立ちが、実際のミニチュアを撮ったときのようにはできていないことが一番の原因です。

20140706d

またタイトル写真は、コントラストや彩度をかなり上げていますが、ミニチュアらしい質感まで表し、より「それ風」に表現するのだったら、それらの調整も必要となります。当ギャラリーの写真はレタッチしていませんが、現場の光の具合がいい場合にはノータッチでもミニチュアらしさが出ることもあります。

そこでティルトレンズを使用しないで、よりミニチュア風に見えるようにPhotoshopで加工してみましょう。

20140706e

元となる写真はパンフォーカスです。これの適切な場所をぼかしていきます。クイックマスクの扱いに慣れていれば、どのようにすれば良いかはおわかりでしょうが、画面右の建物ファサードが右ほどぼけていくようなボカシの作業では、左全体をベタ塗りし、建物部分を左から右にかけて透明になるようなグラデーション塗りのマスクをかけます。

20140706f

Photoshop CS6には新たに「フィールドぼかし」「虹彩絞りぼかし」「チルトシフト」の3つの「ぼかしギャラリー」が追加され便利になりましたが、旧バージョンの「ぼかし(レンズ)」でもグラデーションを上手に使えばボケのコントロールが可能です。

20140706g

ボケの量をそれぞれの部分で上手に案配すれば、実際にミニチュアを撮ったような周囲のボケを作りだすことができます。この作業に加え、コントラストをかなり強く、そして彩度もかなり強くすれば模型のような質感が出ます。

20140706h

もとの写真が縦位置で、まわりの要素が多いので作業は複雑ですが、このくらいに仕上げるのに30分ぐらいです。まだまだ追い込んでアート性(より模型らしさを出す)を上げることもできますが、こんなところで十分に雰囲気がでていると思います。ただ、道路や橋脚のあたりが若干不自然なので、大胆にトリミングしたのがタイトル写真です。

同じようにPhotoshopのみでジオラマ感を出した作例として、俯瞰の度合いがかなり低いものを挙げます。右に松の木がありますが、ティルトで撮ると上半分はボケてしまいミニチュアを撮った風にはならないのですが、Photoshop上でボケを加工していくのならどんなアングルの写真でも自在です。

20140706i

20140706k

 

20140706l 今やほとんどのコンデジにエフェクトとして「ミニチュア」モードがついていますが、それにせよ、ティルトによるミニチュアライズにせよ、ミニチュア風に見える条件は結構限られていて、多めの俯瞰角度で、被写体はなるべく平らなもの。適度にまばらに分散されているなどが必要でしょう。実際、世の作品をご覧になれば、だいたいはそんな撮り方をしていることがお分かりいただけるでしょう。

ティルトで「見かけの被写体深度を深くする方法」をさんざんご紹介し、「平らなものに向いている」ことはおわかりでしょうから、それと同じ原理だということです。

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2014年1月25日 (土)

縦位置シフト撮影 やりすぎにご注意

20140125a

 

建築写真には必需品であるティルト・シフトレンズ、CanonのTS-E、ニコンではPC-Eニッコール。特にTS-Eでは17mmの超広角レンズもあるので、かなりの「寄り」ができることは使っている人は当然ながら、持ってない方でもなんとなく理解はいただけるでしょう。

私が17mmを買ったのは昨年で、それまでは24mmで対応してました。24mmレンズで12mmのシフト(旧型は11mm)があればほぼそれで満足できる(17mmが本当に必要とされるのはインテリア撮影です)のですが、17mmでシフトができるとなるとついオーバーパースをつけてしまうことには注意が必要です。

20140125b 右の写真は11階建て(高さは31mぎりぎりでしょう)のマンションを45度近く振った方向から撮った写真です。あまり良い向きではないですが、前方に寄れる駐車場の位置関係からこんな角度になりました。

TS-E24mmで少々シフトをかけていることは水平線の位置でおわかりでしょう。撮影距離(約37m)は十分にあります。

しかし手前の電線がどうしようもないほど被っていますね。こんなときに便利なのがシフトレンズで、もっと寄ってシフトをかければ、電線が画面に入らなくすることができます。

20140125c そこで前の写真の赤丸ポイントまで前進して、一層シフトをかけたものがこれです。電線が入らなくなりましたが、建物のスカイラインのパースがきつくなって、ちょっと違和感を感じるようになったと思います。

すでに図学上は破たんしているのですが、詳しい説明はのちほどするとして、もう一歩前に出て17mmで撮ってみましょう。

この現場では余裕がありますが、どうしても引きがないときにTS-E17mmレンズを持っているとついやってしまう撮影です。

20140125d 17mmのフルシフトでぎりぎり写せる場所まで前進しました(前の写真の青丸ポイント 撮影距離は約20m)。

どうでしょうか。これ一枚だと気にならないかもしれませんが、上の写真も見せられれば手前の角がそそり立っているのが不自然極まりないはずです。上辺の成す角度が鋭角(90度未満)になってしまっています。

下のような箱状のものをいろいろな角度で見れば、実際の直角が絵や写真の上で鈍角になることはあっても鋭角に見えることはありえないことがおわかりいただけるでしょう。それが超広角レンズでは鋭角に写ることもあるのです。

20140125e

私がデザインを学んだ学校では、写真の授業に加え、建築パースの授業もあったのですが、建築パースは、写真を撮る場合とは逆に、自ら任意に消失点を設定して描くものですから、「手前の上辺の角度が少なくとも90度以下になるように消失点を設定しなさい」と言われたものです。両方の消失点とも紙の中に設定するとかなりきついパースになってしまいます。下の図のように製図板(画板)の左右にかなりの余裕がないと描けない面倒な課題でした。(いまやパースも画面上で行われる時代。こんな苦労はないでしょう)

20140125f

20140125g ほとんどの建築パースが2点透視図で描かれるのは、これにもう一つの消失点(建築の場合は天頂の消失点)を加えた3点透視図にすると作成が大変なこともありますが、それよりも「垂直なものが垂直になっているほうが自然に見える」という大事な要素があるためです。

撮った実例のような細長いビルの場合、ともすると3枚目写真のような「自然に見えない」ものになってしまいます。この場合、垂直は出ているのですが、それに注力するあまり、上辺が大変なことになってしまいました。

竣工写真の場合「迫力があるでしょ」と、こんな写真を提示したら、建築家からは「こんな尖がったビルを設計した覚えはない」と突っ返されるのがオチです。以前に建築パース事務所のサイトかブログで読んだのですが、施主側はオーバー目のパースを好む傾向があり、設計側は自然なパースを好むそうです。

20140125h 17mmもの広角でシフトもできるのでそれに甘んじていると逆に変な写真ができてしまいます。もちろんそこを狙ったアート性の高い写真もありますが「この建築はこういう形状ですよ」と説明のために使うのであればそれは許されません。

それじゃ、今回のような引きがない場合はどうするか?左に移動して正対に近い位置から写すことで違和感を軽減する方法がいいでしょうね。それでも細かい部分(各部屋のエアコン室外機など)では著しい変形がありますが、この辺は目をつぶりましょう。

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2013年10月19日 (土)

TS-E90mm 久しぶりにTS直交にした

20131019a 私の使っているTS-E90mmは、ティルト-シフトを平行にしていることは、随分昔 「Canon TS-Eレンズの使い方」の回 に説明しました。

工場出荷時のティルト-シフト直交の状態ではなく、平行にしてあるほうがティルトもシフトもかけるパターンには良いのでそうしているのですが、久しぶりに直交にしなければならないカットが発生しました。

その説明の前に、TSの平行-直交の変更作業のおさらいなどを。

レンズのティルト・シフトユニットのマウント側にある4本の小さいネジをはずし、90°回転させて取り付け直します。

0番のプラスドライバーがあれば1分で終わる作業ですが、この際、絞りへの電気ケーブル(基盤状のケーブル)を筺体ではさまないように注意が必要です。(あくまでも自己責任においての作業で、一般にはサービスセンターに持ち込むのをお勧めします)

20131019b 平行から直交に戻す手順(工場出荷時は3の直交状態です)

 

20131019c さて、直交である必要がでたカットとは、右のようなものです(納めた写真を掲載する訳にもいかないのでイラストです)。

高さ60cmほどの、左側面にウーファーを持ったスピーカー(ペアのうちの左スピーカー)の使用イメージ写真なのですが、テレビやDVDレコーダーの乗った棚のサイドにおいてあり、棚のものは商品ではないため、ぼかしたいというのがまずひとつの条件です。

また、縦長の被写体なので、「スッ」ときれいに垂直に立たせたいので俯瞰もアオリもかけない正対した写真にしなければなりません。しかし製品が巨大なわけではないので、パース線は下の方が角度があるのが自然、つまり水平線を画面中央ではなく上のほうにしたい(図 水色の線)というのがふたつめの条件です。

(今の文章で使った「アオリ」は見上げという意味の自然な使い方です 写真系、映像系では「アオリ」の意味がごちゃごちゃに使われていて、ある人は「見上げ」の意味で、ある人は「ライズ」-上シフト の意味で使っているのでやっかいです)

被写体に正対してなおかつ水平線が上部にあるということは「フォール」-下シフト しなければなりません。一方、棚をぼかすために浅い絞りにすると、スピーカー左側面のウーファ―はかなりぼけてしまいます。深い絞りでウーファ―をくっきりさせれば棚もくっきりしてしまうので、右ティルトが必要です。

20131019d

このように、シフト軸は水平(上下にシフト)、右奥の棚をぼかすためにティルト軸は垂直(左右にティルト)が必要になりました。

めったにない直交への変更、それもネジ4か所の作業で入れ替えられる簡単なものとはいえ、17mm、新24mmで採用されたTSレボルビング機能のほうが便利です。90mmのTS-Eレンズにもそれが付いた新型が登場するうわさがありますが、出たら手に入れたいですねぇ。

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2013年6月22日 (土)

TS-Eレンズでシフトスティッチ

20130622a

 

TS-E24mmと17mmのテストをしたついでに、過去記事 「TS-Eレンズ ティルト・シフト応用編 -2」 で説明したパノラマスティッチについて、再度取り上げましょう。ここで、タイトルを「パノラマスティッチ」ではなく「シフトスティッチ」にしたのには訳があります。

一般的にパノラマスティッチするには、カメラをスイング(パン)させて、円筒形状の平面に写し込むことになります。従って、広い平面状の被写体に正対して撮ると、センターと端では距離が異なるため、遠くになってしまう画面両端ほど小さく、すなわち「中膨らみ」の画像になります(図では平面が「中折れ」でつながった多角柱上の画像になっていますが、これを滑らかにつなぐことが必要になります)。

20130622b

一方シフトによるスティッチは同平面上をスライド(シフト)した画像の繋がりなので歪みはありません(原理上。実際にはレンズの収差などはあります)。

そこで、シフトスティッチとした訳ですが、特に正しい呼称があるようではありません。「シフトパノラマ」と呼んでもかまわないでしょう。

さて、TS-Eレンズの広角タイプには24mmと17mmがありますが、レンズの特徴について以下のことはご存じでしょうか。「焦点距離が1.4倍のレンズを縦位置で使うと、画角の天地はほぼ同じになる」。

20130622c

24mmレンズの縦位置と17mmレンズの横位置で、画角の天地はほぼ同じになります。こうやって見ると、単焦点で50、35、24、17と揃える意義がまた一つ増えるでしょう。

20130622d_2 過去記事でも、縦位置にして横シフトした画像を繋げば約2倍(フルシフトせずに、重複部分「掛かり代」を若干設けることが大事なので2倍弱となります)の大画面になると説明しましたが、要はTS-E24mmでこれを行えば、17mm相当の画角になるということです。

通常パノラマスティッチするときは、掛かり代を相当に設けないと、上に示した多角柱からなめらかな円筒状になりません。また、周辺の諸収差も吸収できません。パノラマ生成ソフトでもこの重複部分を充分に設けていないと生成してくれません。

ところがティルト・シフトレンズであれば、広大なイメージサークルの連なる部分で繋ぐのですから、基本的には重複部分は最小で済みます。

実際に2枚の縦位置の写真を繋いでみましょう。

20130622e

前回と同日に撮ったほぼ同じアングルです(EOS5Dmk3 F11 1/6 ISO200 ホワイトバランス:AWB、ピクチャースタイル:スタンダード JPEG撮って出し)。これを繋ぐのですが、2枚を適切な位置で合わせても、マニュアル露光でも若干光量が違っていたり、ましてや外光では雲の具合で明るさが異なっています。また、カメラのセンサーの周辺特性などもありきれいには繋がりません。そこで繋ぎ目となるところをグラデーションで消してやります。また、ただシフトしただけでも数ピクセルの上下のずれは発生するので、上下も合わせます。

20130622f レイヤーの管理できるソフト(この場合はPhotoshop)で2枚を並べ、2枚の位置を揃え、継ぎ目をグラデーション消し(大きなサイズの「柔らかな」消しゴムを垂直に直線引きすれば良い)するだけで以下のようなものができます。(クリックで1200×800pxに拡大します)

20130622g

左右の明るさが微妙に違うことがわかりますが、きれいに繋がっています。同場所、同条件(SSのみ1/8と速いため若干暗い)で撮った17mmのほうも比較で載せましょう。(クリックで1200×800pxに拡大します)

20130622h

アスペクト比は異なりますが、同じような画角を約2倍の解像度で表現できます。EOS5Dmk3ではラージJPEGで3840×5760ピクセルですが、それを2枚繋いだので7464×5744ピクセルになります(足りない左右は掛り代の分。上下はズレの解消)。

ただ、過去にも触れた、「レンズをシフトするのでは視差ができ、継ぎはきれいではない」ことが、この写真では手前のコンクリート地面のところに現れています(クリックで1200×800pxに拡大します:等倍画像)

20130622i

20130622j これを防ぐには、三脚にカメラを固定してレンズのほうをシフトする一般的な撮り方ではなく、レンズを固定し、カメラのほうをシフトする必要があります。

「気になっている製品」としてご紹介した proPsolution TSE アダプター はまさにそのための製品です。TS-E用のレンズ座といえるもので、レンズが固定されているので、シフトするとカメラのほうが移動します。

カメラを固定している方法でも、レンズのシフト量を相殺するカメラの逆移動ができれば同結果となります。ベルボンのスーパーマグスライダーは前後だけでなく左右の移動もギアで行えるので画角ずれなど起こしにくいでしょう。ただし移動量の目盛がなく、ノブ1回転で4mm移動することを覚えておいてノブの回転数で判断しなければなりません。

アルカスイス規格のプレートを利用していれば、だいたいのクランプには目盛が打ってある(モノによってはmm単位)ので、一度クランプをゆるめ相殺する量だけずらして再度固定する方法もあります。ただこの場合、ゆるめて再度固定する際に光軸のずれが起きやすいので要注意です。

撮影時に微妙なコントロールをしたくないのであれば、パノラマスティッチソフトを使えば自動で繋ぎの補正をしてくれます。PhotoshopのPhotomerge機能やキヤノンカメラの付属ソフトPhotoStitchでは、この場合の元絵は左右に加えセンター、計3枚あれば自動できれいにスティッチしてくれます。

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2013年6月16日 (日)

TS-E17mm F4L 縦位置シフト撮影

20130615a

 

キャノンの超広角ティルト・シフトレンズ TS-E17mm F4L、前回は正位置(シフトしない)で他のレンズとの比較をしてみましたが、何と言ってもこのレンズは「シフト」して使うことに真価があります。

20130615b シフト量は12mm。フルサイズのイメージセンサは約36×24mmですから、縦位置でフルシフトする場合は、画面は1/3移動するということです。(横位置なら半分)

右の図のように、1/3という量は大した移動量ではないように思えますが、実際の現場(建築物の撮影)では、かなりの効果が出ます。

まず、水平(正対)での撮影。前回と同様に、EOS5Dmk3 F11 1/8 ISO200 ホワイトバランス:AWB、ピクチャースタイル:スタンダード JPEG撮って出したものを、無加工でサイズだけ縮小したものです。(各々クリックで1200×800pxに拡大します)

20130615c

前回の横位置の画像では写っていない右下のボールはかなり「ひしゃげ」ます。歪曲収差を改善した超広角レンズを使用して建築物やインテリアを撮る場合、四隅にあるものの変形は避けられないのですが、見る人に形状の誤解を与えないよう、こういった場所に重要な被写体が入らないように注意するのも大事です。

次は、フルの上シフト(ライズ)。

20130615d

ご覧のように、この12mmのライズで、かなり上まで入り込みます。ここで気になるのは四隅の収差・解像感と、先ほど指摘した形状変形。

収差や解像感はこれだけ悪くなります。(右上部・等倍切り抜き)

20130615e 色収差もあり、解像感もかなり悪くなっています。長辺方向のシフトですからイメージサークル周辺に近い場所の性能なのでこんなところでしょう。

20130615f また、形状の変形も著しいです。この排気ダクトは壁取付面の寸法が20×40cmほどで、出寸法も20cmなのですが、この写真でみると4~50cmも出っ張っているように見えます。

この被写体の位置関係は右図のようなものですが、見上げ60度にもなる範囲を撮っているのですから、この程度の変形ができるのも当然です。

先に書いたように、こういう周辺部に、「形状が変形して、誤解を招いては困るようなものがある」ことをなるべく避けるのは仕事の写真では重要なことだと思ってはいるのですが、現場ではなかなか都合よくモノがレイアウトされている訳ではなく、気になる写りの写真になることもよくあります。

20130615g もっとも、この実験において、「この建物を表現する」のならここまでシフトすることはなく、右のように、しっかり床面も入り、適度に2階も表現できる程度のシフトが適当です(8mm弱のシフト)。 (この写真は拡大しません あしからず)

これらの写真は特に収差や周辺減光などを補正処理していませんが、とにかくこのレンズのすごいところは、このような建物に正対している場合でも歪曲を感じさせないところです。

歪曲収差があると、撮影時のプレビューで正しい向きであるかの判断に悩みます。「傾いて見えるのは、正対していないせいか、水平がとれていないのか、レンズの歪曲のせいなのか・・・」 これらを、あとで処理するにしても正しく判断していないと適切には処理できないので、なるべく撮影時に追い込んでおきたい事項です。

無処理でこれだけの写りですから、場合によってはJPEGのみの撮影で済ますことも問題ないでしょう。

 


20130615h 20130615i TS-E17mm F4Lに関するネタをひとつ。

このレンズはご承知のように超広角のティルト・シフトレンズのため、レンズがこれだけ出っ張っています。

キャップも特殊なもので、周りを覆うような形状のバヨネット式(ロック付)のものです。

シフトを考慮すると、かなりの画角のため、レンズフードがありません。

しかし、発売当初に掲示板等で話題になった、「TS-E24mm F3.5L II」のフードをつけてみました。

このフード EW-88B、名称から分かるように呼び径88mmのものですが、TS-E17mmのバヨネット部(キャップのためにバヨネット機構が付いています)は、この呼称に従えば85mmなので3mmも違います。

ただ、バヨネットのバネのおかげで右写真のようになんとか収まりはします。

またケラレに関しては、長辺方向のフルシフトでは結構カブります。フルシフト(やティルト/シフトの共用)はしないというのであれば「なんとか使える」と思います。

確かに、保護フィルターも付けられないので、「せめてフードでも」というのもわかりますし、フードにより悪影響のある光をカットする効果も皆無ではないでしょうが、ほとんど効かないと思います。

ちょっと当たればはずれてしまう「ヤバい」フードを付けるよりは、撮影時のみキャップをはずすという使い方をすれば気にならない事だと、ここ数回使ってみて感じました。

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2013年6月 8日 (土)

TS-E17mm F4Lと他の17mm

20130608a

 

前回のTS-E24mm F3.5L IIに続き、17mmのほうも比較実験をしてみましょう。とは言っても、この17mmは私の所有するものではなく、何回か借りている借り物です。

私の所有するレンズでこの焦点距離をカバーするものは、前回同様SIGMA 12-24mm 1:4.5-5.6 DG HSM (旧タイプ)、EF17-40mm F4L USM となります。

20130608b

 

前回と同日に同条件(EOS5Dmk3 F11 1/8 ISO200 ホワイトバランス:AWB、ピクチャースタイル:スタンダード JPEG撮って出し)のものを、無加工でサイズだけ縮小したものです。(各々クリックで1200×800pxに拡大します)

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17mmともなると四隅への「引き延ばし」 の度合いはかなり大きくなりますが、この例では「変形が目立つ被写体が四隅にはない」のであまり目立ちません。それよりも歪曲収差により各直線が曲がることが目立ってきます。特に17-40mmの樽型収差はかなり目立ちます。

また四隅の解像感は前回同様、等倍の部分画像を並べたものでご覧いただきます。

【左上】
20130608f

【右下】
20130608g

さすがに17mmともなると四隅は甘くなります。その中でTS-E17mmは素晴らしい解像をしています。(もっともTS-E17mmでもフルでシフトするとそれなりに甘くなりますが、それは次回に)

 


17-40mmでは盛大な樽型の歪曲収差が気になります。しかし、最近の「収差は後からソフトで処理をする」という考えに立てば、それもそんなに気になるものではなくなってきました。

Photoshopでの「レンズ補正」(歪曲収差・周辺減光)、DPPでの「DLO(デジタルレンズオプティマイザ)/レンズ補正」(諸収差・回折・歪曲収差・周辺減光)で処理すれば、隅々まで解像した画像になります。

下は上でご覧いただいたEF17-40mmF4のRAWデータをPhotoshop(正確にはその「Camera Raw」機能)、DPPでそれぞれレンズ補正をかけたものです(各々クリックで1200×800pxに拡大します)

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Photoshopでの補正は歪曲収差と周辺減光のみなので、「解像」に関しては特に補正がなく、四隅を「引き延ばす」ため、どちらかといえば解像感は低くなっていますが、DPPのDLO処理では四隅の解像もしっかり処理できます。

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20130608n

こうなってくると、「特に優れたレンズ」ではなくても、クリアな「使える写真」を得ることが簡単になってきているのですが、シフト(やティルト)を必要とする建築写真などではTS-Eレンズは必需品です。

現状ではTS-Eレンズに「自動でレンズ補正を掛ける術がない(レンズセンターが画像センターとは限らない)」ため、レンズ補正データはPhotoshopにもDPPにもありません。そのため、処理にたよらずクオリティの高い画像を得るためには、非常にクオリティの高い設計で作らざるを得ず、非常に高価なレンズとなっています。

しかし裏を返せば、今後、レンズシフト量、ティルト量がデータ化される方式が確立できれば、そこそこのクオリティで後作業まかせの安価なティルト・シフトレンズもできるかもしれませんね。

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2013年6月 2日 (日)

TS-E24mm F3.5L IIと他の24mmレンズ

20130601a

 

TS-E24mm F3.5L IIは私にとっては非常に大事なレンズです。広角域が必要とされる仕事は建築写真やインテリア写真なのでシフトが必要となり、24mmの画角決め打ちの場合はこれしかありません。

キャノンの単焦点24mmは他にF1.4と2.8がラインナップされていますが使ったことはありません。しかしズームはいくつか持っていますし、最近 EF24-70mm F4L IS USM を購入したこともあり、24mm域のレンズ比較など行ってみたいと思います。

私の所有するTS-E24mm以外のレンズで、24mm域をカバーするのは SIGMA 12-24mm 1:4.5-5.6 DG HSM (旧タイプ)、EF17-40mm F4L USM とEF24-70 F4ですが、 EF24-70 F4はEF24-105からのリプレースです。

20130601b

画像比較といえばテストチャートでの比較がある意味では有効です。私も過去、自作のチャートを写すことをしていました。

20130601c 20130601d 20130601e A3程度の紙ですから撮影距離40cm程度です。その距離で写すことは実用上まずないので真価を判断するには不適切とは思いますが、歪曲収差の程度や周辺減光の程度を判断するには良いでしょう。

EF24-70mmはチャートを撮っていないため3点の比較となります。(各々クリックで1200×800pxに拡大します)

いずれもEOS5Dmk2 F8 1/10 ISO100での撮影です。

見ておわかりのように、SIGMA 12-24mmは樽型の歪曲がほとんど見受けられないのですが、周辺減光は著しいです。

EF17-40mmは24mm域ともなるとかなり良好な歪曲で周辺減光もほとんど気になりません。

まあ、このようなチャートデータでの比較は、海外も含めそれ専門に行っているサイトがありますので、そちらをご覧いただくほうが、データ値も得られます。

さて、建築写真で広角レンズを使う場合、正対して撮る際に歪曲収差はかなり気になります。実際にそれなりに距離を撮った写真で判断しましょう。(こちらも各々クリックで1200×800pxに拡大します)

なお、いずれもEOS5Dmk3 F11 1/8 ISO200での撮影で、AWB、ピクチャースタイル:スタンダードのJPEG撮って出しを無加工でサイズだけ縮小したものです。

20130601g_2 20130601h 20130601i 20130601j

同じ「24mm」でも広がりが若干異なることは皆さんご存じでしょう。TS-E以外はズームで、17-40mmはズーム中域なので厳密に「24mmか」といえばなんとも言えませんが、他の2点はテレ端、ワイド端なので指標の合わせミスはありません。

歪曲収差を減らすために周辺を「引き延ばし」されたレンズでは周辺の形状が「変形」することは左下のボールでよく分かりますが、歪曲収差のこのくらいの差ではその変形度合いは大して変わりません。

それよりもやはり、水平垂直の線がしっかり出ていないとどうにも収まりが悪いのは、24-70mmの写真で明らかでしょう。それ以外の3点はかなりいい線をいっていますが、やはりSIGMA12-24が一番きれいな直線に見えます。

さて、パッと見、SIGMA12-24が良さそうなのですが、このサイズや拡大したサイズではあまり気にならない四隅の解像感は等倍でみるとかなり差があります。

まず左下のボール近辺(クリックで1200×800pxに拡大します:等倍画像)

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そして右の自転車の後輪近辺(クリックで1200×800pxに拡大します:等倍画像)

20130601l

ボールのほうは光の具合が異なるため判断しづらいのですが、後輪の比較写真でお分かりのようにSIGMA12-24mmはかなり「流れて」います。この旧型は設計の古いレンズで、2年前には後継機が出ており、そちらは四隅の解像はかなり上がり周辺減光も減ったようですが、一方その犠牲で歪曲収差はかなりあるようです。しかしこのレンズ、なにしろ12mmはじまりで軽い便利なレンズですので、後継機に買い換えることなくまだまだ使っています。

EF17-40mmも周辺解像はよくありません。しかしこちらも軽量な広角ズームレンズ。使い道はしっかりあります。

EF24-70mmは最新のレンズだけあり、ワイド端であるこの24mmでの周辺の解像、たいしたものです。正対では歪曲収差は若干目立つものの、斜めのアングルではあまり気になりません。マクロ機能も取り入れた、なかなか良い「キットレンズ」ではないでしょうか。

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